第五十五話 刃の使い方その三
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「剣を手放すまでのな」
「確かに危うかったよ」
「それを握りなおしたか」
「掴んでいたよ、ずっとね」
木の衝撃を受けてそれで手放しそうになったがそれでもだというのだ。
「危うかったよ」
「しかしあんたは手放さなかった」
「根性というものを出したよ」
「そうか、手放していればそこで攻撃を繰り出してな」
そしてどうするつもりだったか、工藤は弾き返した後も考えていたのだ。
「終わらせるつもりだったがな」
「生憎だったね」
王は今も余裕の笑みを見せていた。
「私も手放していれば終わりと思ったからね」
「わかっていたか」
「うん、まあそれでもね」
「危うかったのは確かだな」
「そうだよ、じゃあまたやるかい?」
「いや、止めておく」
ここで広瀬の口調が変わった。
「機を逸した」
「攻めないんだ」
「手放すと思ったからな」
「生憎だね。じゃあ仕切りなおしかな」
「そうなるな。ではもう一度か」
「いや、悪いけれどね」
ここでこう言う王だった。見ればその右手の時計を見ている。
「これで終わりにしたいね」
「時間か」
「休み時間が終わったよ」
店のそれがだというのだ。
「帰ればそれで丁度だね」
「そうか、残念だな」
「君もそれでいいんだ」
「そちらがその気でないならいい」
広瀬は王に対して言った。
「別にな」
「わかったよ。ここで終わらせたかったけれど」
「残念だったな」
「一人倒して」
そしてだった。
「その分の力を手に入れれば後が楽になるんだけれどね」
「俺の分は適当に怪物を倒しておくんだな」
「地道だけれどそうするよ」
王はあえて残念そうに広瀬に返した。
「また今度会おうね」
「そしてその時にだな」
「今度こそ君を倒すよ」
こう余裕のある笑みで語る。
「その時を楽しみにしておいてね」
「その言葉はそっくり返させてもらうがな」
「気が強いね。じゃあね」
「これで今はお別れか」
「そうなるね。じゃあ先にここから出るよ」
「勝手にしろ。俺もすぐ後で出る」
共に出ようとはしなかった、今先程まで共に戦っていた相手と並んで出るという気持ちにはなれなかったからだ。
それでこう王に言ったのである。
「今はここで別れるか」
「そういうことでね」
王はすっと笑ってそのうえで返した、そしてだった。
まずは彼が店を出てそれから広瀬だった、二人の闘いはこの場ではこれで終わった。
スペンサーは領事館にいた、だがここで声から言われた。
「あの」
「何でしょうか」
「新たな剣士が出て来ました」
「そのことを私に伝えてくれるのですね」
「その通りです、そして彼は」
声はスペンサーに対してさらに話す。
「中華街にいます」
「チャイナタウンに
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