第五十五話 刃の使い方その二
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「ダイアになった剣は」
「防げると言えば」
「見せてもらいたいね」
笑って返す王だった。
「是非共ね」
「では見せてやる」
広瀬もこう返す。
「是非な」
「本当に自信家だね」
「自信がないと生きていられない」
そうなるというのだ。
「絶対にな」
「そうだね、自信がないと剣士としてはね」
「すぐに倒れる」
そうなってしまうというのだ。
「例え実力があってもな」
「まずは自信だね」
「勝てると思うことだ」
それからだというのだ。
「そう思うこと、そして実力を見極めること」
「つまり今の君の実力だと」
「ダイアも防げる」
巨大なダイアの剣の攻撃でもだというのだ。
「絶対にな」
「ではいくよ」
王は笑ってその剣を横に構えた、身体の右に置いた。
その上で横から一閃させる、それで広瀬を両断せんとしていた、
刃はそのまま彼を断ち切ろうとしていた、王は振りながら広瀬に問うた。
「跳んでかわすのかな」
「跳んでか」
「そう、そのやり方もあるよ」
力を使わずにその体術を使ってだというのだ、
「君の木の力を使わないでもね」
「攻撃はかわせるな」
「それは出来るよ」
「確かにそれは可能だ」
広瀬もそれが出来ることを否定しない。
「そしてその方が楽だ」
「その通りだね」
「しかしだ」
「今はそれを使わないんだね」
「そのうえでそのダイアの剣を防いでみせる」
「さて、どうするのかな」
剣は凄まじい速さで唸り声をあげて広瀬に向かう、触れれば何もかもを両断してしまいそうだった、そのダイアの巨大な剣に。
広瀬は仕掛けた、身体を剣に向け左から右に一閃させると。
下から木が出た、そしてだった。
木は突き進む剣を下から打った、それでだった。
下から突き上げられた剣は宙に跳んだ、王はその剣を何とか握った。
そのうえで弾かれて暴れる剣を握りなおす。そうして何とか収めてから。
体勢も立て直してこう広瀬に言ったのだった。
「いや、まさかね」
「前に出して防ぐだけじゃない」
「下からだね」
「前に向かう力は前から来る力には強い」
力学である。
「しかしこの場合下から、上からでもいいが」
「別の方向から来る力には脆いね」
「ダイアが硬いなら外せばいい」
それで済むというのだ。
「その向かう先をな」
「成程な、考えているね」
「力の使い方は様々だ」
剣の力もだというのだ。
「こうした使い方もある」
「智恵だね、君は知力も高いね」
「だから剣士として今まで生きてきた」
ひいてはそうなるというのだ。
「そういうことだ。しかしな」
「しかし?」
「思いきり弾いたつもりだったがな」
まだ剣を持ち構えている王を見ての言葉だ。
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