第四十三話 クラスではその二
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「柔道着とかでもあるだろ」
「他の服でもね」
学校に置いていた服を着てそれでインキンなり何なりになるということだ、他人の服にしても借りることは危険なのだ。
「あるわよね」
「間違っても他人の水着とかはな」
肌に直接触れる服は特に、というのだ。
「危ないからな」
「だからまずはね」
クリーニングに出すなり洗濯するなりしてだというのだ。
「清潔第一よ」
「インキンは怖いっていうからな」
特にこの病気が警戒されていた。
「だからな」
「そう、洗濯して綺麗にして」
それから着るべきだというのだ。
「そうしないとね」
「じゃあ服を借りてもか」
「クリーニングに出してね」
全てはそれからだった。
「さもないと地獄を見るわよ」
「インキンなあ」
男子生徒はまたこの病気の名前を出した。
「あれは一回かかったら三年苦しむらしいからな」
「えっ、三年!?」
「一回かかったら三年!?」
「本当、それ」
「その話は」
この話には皆驚いた、男子生徒だけでなく女子生徒もだ。
「まさかと思うけれど」
「一回かかったらそれで三年って」
「インキンってそんなにやばいの」
「ストーカー並じゃない」
「自衛隊の人に聞いたんだよ」
男子生徒は真剣な顔で語る。
「インキンってのはしつこくてな」
「本当に三年かよ」
軽いオールバックにしている男子生徒が問う、今の高校生にしては少し古い感じの髪型だが結構似合っている。
「そんなにかかるんだな」
「そうらしいな、その人海自だけれどな」
海上自衛隊だ、文字通り海とその関係を守る自衛隊だ。
「海自さんってのは海軍の頃からインキンが問題になっててな。あと水虫な」
「水虫もかよ」
「そうらしいんだよ、ほら海だろ」
だからだというのだ。
「海だからな」
「ああ、湿っぽいよな」
「そうした場所にずっといるとちょっと油断したらな」
それでだというのだ。
「なるらしいんだよ」
「そういえば自衛隊って皮靴だよな」
「そうだよ」
通気性に問題があることは言うまでもない。
「運動の時以外はな」
「余計になりやすいな」
「しかも海軍の頃は入浴設備も整っていなかったからな」
艦内での話だ。
「だからな」
「おまけに集団生活か」
「だからちょっと油断したらな」
男子生徒は真顔で周りに話していく。
「なるらしいんだよ」
「怖いな、そりゃ」
「簡単になるなんてね」
皆その話を聞いて話すのだった、琴乃もその話を聞いて怪訝な顔になりそのうえでその男子生徒に問うた。
「あの、じゃあ昔の海軍の人達は」
「ああ、かなりの確率でな」
インキン持ちだったというのだ、ついでに言えば水虫もだ。
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