第六十七話
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第六十七話 いよいよ
学校の先生、他ならない華奈子のクラスの担任の先生が華奈子達に言う、その言葉はというと。
「このクラスに転校生が来ます」
「それは何時ですか?」
「三日後です」
その時にだというのだ。
「皆さんの新しいお友達が来ますよ」
「それってどんな人ですか?」
すぐにだ、一人の女の子が手を挙げて尋ねた。
「一体」
「噂によればですが」
その域を出ていない話だ、しかしだというのだ。
「いい子ですよ」
「女の子ですよね」
「はい」
同じ女の子の問いだがその問いにも笑顔で答える。
「そうですよ」
「そうですか、じゃあ可愛いといいですね」
ここでもこうも言う女の子だった。
「性格もよくて可愛いと最高ですよね」
「そうですね、その二つがいいともう先生も言うことはありません」
この先生は学校の成績はその次と考えている、そうしたものはちょっとした努力次第でどうとでもなると思っているからだ。
だからだ、ここでもこう言うのだ。
「その二つがよければ世の中は最高に幸せなんですよ、とはいってもお顔も性格が作るものですからまずは性格です」
「先生いつもそう仰ってますよね」
「その通りだと思っていますから」
それでだ、今もこう言うというのだ。
「人の顔も最初がどれだけよくても心が悪いと悪くなるんですよ」
「そうなんですか?」
「そうですよ、性格が顔を作ります」
女の子だけでなく華奈子達にも話す。
「そのことは覚えておいて下さいね」
「じゃあ最初どれだけ顔が悪くても性格がいいとよくなるんですね」
今度は華奈子が右手を挙げて先生に尋ねる。
「そうなんですね」
「その通りですよ、皆さんまずは性格ですよ」
「性格が悪いとどうしようもないんですね」
「ヤクザ屋さんでもお顔がいい感じの人がいますけれど好きになれないですね」
先生は実にいい例えを出してきた。
「そうですね」
「あっ、確かに」
「そう言われますと」
華奈子達もわかった、そう言われるとだ。
「そうですね」
「ヤクザ屋さんは」
「そういうことです。性格が悪いとヤクザ屋さんになるんですよ」
その顔もだというのである。
「ですから皆さん気をつけて下さいね」
「はい、性格ですね」
「まずは」
可愛さも性格が作る、先生が言いたいことはそうである。
華奈子達もそのことを理解した、そのうえで転校生を待つのだった。
第六十七話 完
2013・8・30
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