マザーズ・ロザリオ編
終章・全ては大切な者たちのために
紅紫の剣舞、そして―――
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『龍皇の血塔』にてユウキが開眼した新たな力だ。
(……あれからまだ少ししか経っていないというのに、ぎこちなさが無い。……本当に大したやつだ)
不利な状況だというのにレイの心は落ち着いていた。
ユウキの双剣が迫ってくる。両腕を体の右側に引き絞ってまずは逆手の黒剣が振り上げられる。
レイはそれを不安定な体勢で紙一重でかわす。
次にユウキはさっきの剣筋と十字に交差するように左手のアスカロンを薙ぐ。
流石にこれはかわし切れず、胴に浅くダメージエフェクトが刻まれる。
試合開始からここまでで約3分、初めてダメージが入った瞬間だった。
ユウキの攻撃はまだ止まらない。跳躍し、体を捻って回転切りをレイに浴びせる。これもヒットし、レイのHPがさらに減って7割に達する。
レイは衝撃によって後方に押され、両者は再び距離を空けた。いかにユウキのスピードが速かろうと大太刀の間合いである中距離を抜け、片手剣の間合いである近距離に入らない限りどうしようもない。
二刀目を抜いた時点でさっきのような不意打ちめいた奇襲からの連続攻撃は封じられたと言って良い。
少し前まではその圧倒的剣速とセンスのみで戦ってきたユウキにとって『相手の虚を突いて攻撃を当てる』という戦い方は戸惑うことばかりだった。
しかし、水城螢という旧知の人物に再開してからは意識してその新たな戦い方を学んできた。ユウキの従来のやり方では一度戦ったことのある相手に再び勝つことは難しいという事は先程のアスナとの試合が証明している。
故にユウキはゆっくりと流れる時間の中、必死に考えを巡らす。正面や側面からの入りは既に封じられている。なら―――あえてセオリーを取る。
右の剣を順手に持って体の左側へ……ソードスキル《ソニックリープ》
「くっ……」
間合いを詰めようとしていたレイは顔をしかめると飛び込んできたユウキの剣を大太刀で受ける。
足を踏ん張りつつその衝撃を受けきり、硬直しているユウキを押し返して反撃しようとするが、彼女の左手を見て目を見開く。白銀の剣は真紅の光を放ち、その刀身に大きなエネルギーを蓄えていた。
次の瞬間、ジェットエンジンめいた轟音と共にそれが放たれた。片手直剣単発重攻撃《ヴォーパルストライク》顔面に向かって放たれたそれを首を傾ける事でかわし、慣性でそのまま体ごと突っ込んで来たユウキをつい、いつものクセで丁寧に地面に下ろしてしまう。
闘技場の一部で失笑が起こった気配があったが、レイは表情に苦慮の色を混ぜながら大太刀の威力が最も乗る距離を取る。ユウキの技後硬直はまだ解除されていない。
ズン、という重い踏み込みから徐々に重心を移動、速さは無いが威力の乗った一撃がユウキを空にかち上げた。
しかし、両手武器をモロに食らったに
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