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紅き微熱と黒き蓮華
第二話
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いたはずだが…」

「ヴァチカン?…そんな国はこのハルケギニアに存在しないわ」

「ありえねぇ!」

「本当だってば!なら、そのヴァチカンから来たっていう証拠を見せて」

そう言う彼女の顔は真面目で神田は夜に見た二つの月を思い出した。

窓を照らしていた双月…。

ここは、違う世界だと思えば確かに地球とは異なるありえない双月にも納得がいった。


「…いいだろう。ゴーレムを見せたい所だが…オイ、俺の持ってた黒い蝙蝠みたいなやつを何処へやった?」

「ああ、あれね。あれなら貴方の持ってた棒切れと共に解析したいというミスタ・コルベールっていう人に半ば強引に持っていかれたわ」

「なんだとっ!?ゴーレムだけではなく俺の六幻まで持っていっただと…場所は何処だ?ただじゃ済まさねぇ」

すぐに飛び出ていこうとする神田にキュルケは静止をかける。

「あ、後でちゃんと取りに行くから」

「…チッ、出来るだけ急いで行けよ。じゃあ次の質問だ。俺の胸にあるこれはなんだ?」

ノースリーブを脱いで蓮の模様を指し示す。

「ああ、それは私との契約の証よ」

契約の言葉に疑問符を浮かべる神田にキュルケはサモン・サーヴァントで神田を召喚し、キス(コントラクト・サーヴァント)で契約したことを話した。
神田は話の途中でわなわなと震え始め話が終わるまで一言も発さなかった。

話が終わりしばらくした後、神田が一つ深く息を吸ったかと思うと―――

「お前が俺を、こんな訳の分からん所に呼び出しやがったのか!それにそんな一方的な契約は破棄だ!破棄!!」

「お、落ち着いて。悪いとは思うけれど…私も好きで貴方を呼び出したんじゃないから。あと、一度結んだ契約は破棄することは出来ないわ」

「なん…だ…と?」

「契約が切れるのはどちらかが死ぬときよ。…言っておくけど帰るだなんて言い出さないでね。人間を呼び出した上に言うことを聞かないなんて皆に知られたら私はもうゲルマニアに帰れないわっ!」

キュルケは早口で捲し立てた。

すると部屋の温度が下がっていくような気がした。

「…さっきから聞いてりゃ、お前何様だ?俺を勝手にこんなところに呼び出しといて私は好きで呼んだんじゃないだと?ふざけるなよ。いつまでもお前のお遊びに付き合ってる暇はねぇんだよ!とっとと元に帰す呪文を唱えろ!」

神田の凄まじい剣幕にキュルケは思わず涙目になる。

「ヒッ…そ、そんなこと言われても…帰す呪文なんてないわよ」

「なら、俺を呼び出した呪文をもう一度やってみろ」

「サモン・サーヴァントは唱えることはできないわ」

「何故だ!?」

「もう一度行うときは使い魔が死ぬとき…つまり、貴方が死ぬ時よ。それでも…やってみ
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