第二章 風のアルビオン
第三話 襲撃と空賊
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と、隣にいたルイズが答えた。
「まだアルビオンに着くまで時間がかかる、それまで休んでおこう」
「そうか」
ワルドの言葉に士郎は頷き、舷側に座り込むと、その横にルイズも座り込んで士郎に寄りかかってきた。
「ルイズ?」
「……さっきのドタバタでつかれてるのっ。寄りかかるとこぐらい柔らかいとこがいいのっ」
士郎の言葉にそっぽを向きながらルイズが答えるのを見た士郎は、苦笑を漏らしたあと、ルイズのぬくもりを腕に感じながら眠りについた。
船員たちの声と眩しい光で、士郎は目を覚ました。青空の下、舷側から下を覗き込むと、白い雲が広がっている。
「アルビオンが見えたぞー!」
鐘楼の上に立った見張りの船員が、大声をあげる。
士郎が舷側から眼下を覗き見るが、見えるのは白い雲ばかり、どこにも陸地など見えなかった。
「アルビオンはどこなんだ?」
士郎がそう呟くと、ルイズが「あそこよ」と言って、空中を指差した。
「まさか……」
ルイズが指差す方を振り仰いで、士郎は息をのんだ。巨大としか言いようのない光景が目の前に広がっていた。
雲の切れ間から、黒々と大陸が覗いていた。大陸ははるか視界の続く限り伸びている。
地表には山がそびえ、川が流れていた。
「ふふんっ。驚いた?」
ルイズがなぜか威張りながら言うと、士郎は呆然とした表情で頷いた。
「ああ……すごいな、これは」
「浮遊大陸アルビオン。ああやって、空中を浮遊して、主に大洋の上をさ迷っているわ。でも、月に何度か、ハルケギニアの上にやってくる。大きさはトリステインの国土ほどもあるわ。通称“白の国”」
「“白の国”?……白い雲……霧か? に覆われているからか?」
「まあ、そうね」
ルイズは大陸を指差した。
「大河から溢れた水が空に落ち込んだ時にね、白い霧になって、大陸の下半分を包むの。その霧が雲になって、広範囲に亘ってハルケギニアに大雨を降らすのよ」
ルイズの説明に士郎が頷いていると、鐘楼に上った見張りの船員が大声をあげた。
「右舷上方の雲中より、船が接近してきます!」
士郎が言われた方を振り向くと、船が一隻近づいてきていた。士郎たちが乗り込んだ船よりも、一回りも大きい。舷側に開いた穴からは、大砲が突き出ている。
「……大砲か」
士郎が緊張を含んだ声を上げると、隣にいたルイズが士郎の外套を掴み眉をひそめた。
「いやだわ。反乱勢……、貴族派の軍艦かしら」
後甲板で、ワルドと並んで操船の指揮を取っていた船長は、見張りが指差した方角を見上げた。
黒くタールが塗られた船体は、まさに戦う船を思
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