第二章 風のアルビオン
第三話 襲撃と空賊
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「いや、なんだかここらへんに用事があったそうでな…それで襲われている俺たちを見て、助けに来たというわけみたいなんだが……」
「へぇ〜……随分とつごうがいいのね」
「用事……ねぇ……」
「いや……そんな目で見られても……」
ジト目で見つめてくるルイズ達から、士郎は顔をそらした。
「まあ、いいわシロウ。私たちが援護するから先に行きなさい、タバサいい?」
「わかった」
「もちろんボクもだよね……ハァ……」
「当たり前でしょ、男を見せなさいよギーシュっ!」
タバサは士郎に向かって頷く。
「行って」
「分かった、適当に相手をしたら逃げろよ」
「分かった」
「りょ〜かいっ、無事帰ったら今度は口に……ねっ!」
「はぁ〜……男になるか……」
キュルケはルイズに向き直ると笑いかけた。
「ねえ、ヴァリエール。絶対に任務を成功させなさいよ」
「あ、当たり前でしょっ」
ルイズは少し迷ったあと、ぺこりとキュルケたちに頭を下げると、士郎たちとともに裏口に向かった。
月明かりの下、士郎たちは桟橋へと向かって走っていた。とある建物の間の階段にワルドは駆け込むと、そこを上り始める。
「“桟橋”なのに、山にのぼるのか?」
士郎は疑問の声を上げたがワルドは答えない。
長い、長い階段を上ると、丘の上にでた。現われた光景をみて士郎は息を飲んだ。
巨大な樹が、四方八方に枝を伸ばしている。
大きさは山ほどもある、巨大な樹だった。高さは夜空に隠れて一番上が見えないが、相当な高さである。
士郎が呆然と巨大な樹を見つめていると、樹の枝にはそれぞれ、大きな何かがぶら下がっているのが見えた。目を凝らしてみてみると、飛行船のような形状の船が枝にぶら下がっていた。
「これが“桟橋”で、そしてあれが“船”か?」
士郎が呆然とした声で言うと、ルイズが怪訝な顔で聞き返した。
「そうだけど。士郎の世界では違うの?」
「ああ、こういうものはちょっとないな……」
「ふ〜ん、そうなの?」
ルイズが曖昧に頷いた。
ワルドは樹の根元へと駆け寄る。樹の根元は巨大なビルの吹き抜けのホールのように、空洞になっていた。枯れた大樹の幹をうがって造ったものらしい。
夜なので、人影はなかった。各枝に通じる階段には、鉄でできたプレートが貼ってあった。そこにはなにやら文字が踊っている。まるでそれは駅のホームを知らせるプレートのようであった。
ワルドは目当ての階段を見つけると、駆け上がり始めた。
木でできた階段は、一段ごとにしなる。手すりがついているものの、ボロくて心もとない。階段の隙間からは、眼下の闇夜にラ・ロシェールの街の明かりが見えた。
階段を駆け上った
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