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剣の丘に花は咲く 
第二章 風のアルビオン
第三話 襲撃と空賊
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「傭兵はかなりの数がいる、ここはそうだね、補助で何人か置いてくれたら十分だ……シロウたちは先に行きな」
「いや、ここで殲滅しておいたほう……」
「はぁ〜、いいからいきな。あんたがいくら強くても、ここにいる傭兵を全部相手にしていたら船が行っちまうよ。あたしらが傭兵たちを適当に引きつけたら、さっさと飛んで逃げるよ……さすがのシロウも空は飛べないだろ?」
「……通りかかっただけにしては、何か妙に事情に詳しくないか?」 

 首を捻る士郎に、ロングビルは慌てたように手を振り回すと、顔を真っ赤にさせながら士郎に怒鳴った。

「いいから早く行きな! ぐずぐずしてんじゃないよ!」
「あっ、ああ分かった……すまないな、無事に逃げろよ」

 士郎がやっと提案に了解の意を示すと、ロングビルはニヤリと笑って士郎に近づいていった。
 不意に近づいてきたロングビルに、困惑して声をかけようとした士郎は、口を開く直前にロングビルの指で口を抑えられた。ロングビルは背伸びをすると士郎の胸にもたれ掛かるように身体を預け、耳元に囁く。
 
「なっ、なんだ? ロングビ―――」
「今は二人っきりだろ」

 意味深な笑顔で見てくるロングビルを見て、士郎は片手で顔を被った後、大きくため息はくと、苦笑いを向ける。

「はぁ……わかったよマチルダ、無事に逃げてくれ」
「ああっ了解っと。チュッ」
「なっ!」

 ロングビルは士郎から離れる際、唇に軽くキスをすると、悪戯っぽく笑った。

「ツェルプストーのお嬢ちゃんよりもいいだろ! それじゃっそっちも気をつけてな!」
「昨日の気配はマチルダのだったのか……まったく」

 ロングビルにキスをされた士郎は、唇に指を当てながら苦笑いをすると、屋根から飛び降りて“女神の杵”亭に向かった。







 “女神の杵”亭に士郎がたどり着くと、傭兵たちはロングビルのゴーレムの相手をしていたことから、“女神の杵”亭の中には傭兵はいなかった。
 ルイズたちが戻ってきた士郎に駆け寄っていく。士郎は“女神の杵”亭の外で傭兵と戦っている岩のゴーレムを親指で指し示す。

「メイジは片付けた。それと外にいるゴーレムは味方だ。それですまないが、先程のワルド子爵の案を採用したい。傭兵の数が思ったよりも多くてな、相手をしてたら時間がかかりすぎてしまう」
「ちょちょっと待ってよシロウ。外のゴーレムが味方って誰なのよ?」
 
 ルイズが慌てて士郎に聞くと、士郎は苦笑いをしながら答えた。

「あっ、ああ。それがな、ロングビルだ」
「「「ミス・ロングビルっ!? どうして!?」」」
 
 ルイズたちが声を上げて疑問の声を上げると、士郎は頬を掻きながら視線を明後日の方に向けた顔をルイズ達に見せた。


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