第二章 風のアルビオン
第三話 襲撃と空賊
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が懐から何かを取り出そうとし、デルフリンガーが警告の声を上げたが、士郎は男の手が懐に届く前に剣を引き、流れるような動作で白い仮面の男の首を断ち切った。
断ち切られた首は、地面に落ちる直前に塵のように消え、同様に残った胴体も消えていった。
「相棒……」
「デルフ……」
士郎がデルフリンガーを持ち直して、刃に目をやり語りかけた。
「遅いぞ」
「早いんだって」
「それよりも早く戻るぞ、あとは傭兵を片付けるだ――」
士郎が“女神の杵”亭に振り返ると、三十体近くの岩で出来たゴーレムが傭兵たちと戦っていた。
それを見た士郎は、デルフリンガーに目をやり、苦笑いしながら聞く。
「デルフ、あれはギーシュか?」
「いや〜、さすがにそりゃないな」
「そうだな……岩……か、もしや」
士郎が何かに気づき周りを見渡すと、建物の屋根にフードを被った女が立っているのに気付く。
その正体に気付いた士郎は、軽くため息をつくと、屋根の上にいる女に向かって走り始めた。
「はぁ〜、一体何したってんだいシロウの奴は……」
「いや、特に何をしたわけではないんだがな」
「ひょわっ!」
屋根の上でロングビルがため息をついた瞬間、いきなり後ろから声を掛けられたロングビルはつい変な声を上げてしまった。
慌てて振り返ると、そこには目を丸くして立っている士郎の姿があった。
「シ〜ロ〜ウ〜!! こんなところでいきなり声をかけんじゃないよ! ビックリして下に落ちるとこだったじゃないかい!」
「あっ、ああ。すまない」
ロングビルから凄まじい勢いで迫られた士郎は、タジタジになりながらも頭を下げて謝った。
士郎は下げていた頭をおずおずと上げながら、ロングビルを見る。
「しかし、君はどうしてこんなところにいるんだ?」
「えっ! あ、ああ。その〜、ね……ちょっ、ちょっとこの辺に用事があってね」
「用事?」
「そ、そうそう用事があってね! それでここの近くを通りかかったら、騒ぎが起こっているだろ、なんだろうかと思って見てみると、あんたたちが傭兵に襲われているじゃないの! これでもあたしゃ学院の関係者だからね! だから、助けてやろうと思っただけだよ!」
顔を真っ赤にさせながら強い口調で言い放つロングビルを、士郎は呆気にとられた顔で見つめた。
「な、何よ……」
「いや、すまないな。助けてもらって」
「別にいいさ……」
「それでは、残りの傭兵を片付けるか」
「いや、シロウたちは先にいきな」
「何?」
屋根の上から飛び降りようとするのを、ロングビルの声に止められた士郎がロングビルに振り返ると、ロングビルは頬を人差し指で掻きながら、顔を明後日の方に向けて言い放つ
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