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剣の丘に花は咲く 
第二章 風のアルビオン
第三話 襲撃と空賊
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杖を引き抜いたのを確認した士郎は、冷えた空気を頬に感じ、咄嗟にその場から飛び離れた。

「相棒! あぶねえ!」

 デルフリンガーの警告よりも先に士郎が飛び離れた瞬間、士郎が先ほどまでいた場所にバチン! という音と共に、男の周囲から稲妻が伸びる。

「“ライトニング・クラウド”!」
 
 呪文の正体に気付いたデルフリンガーが叫ぶが、それに士郎が苦笑する。

「デルフ、警告するのはいいが、いつも一瞬遅いぞ」
「いや! 相棒の反応が早すぎんだって!」

 士郎の非難に、デルフリンガーが文句か褒め言葉かよくわからないことを言った。
 
「まあ、それはいいとして―――白仮面とでも呼ぼうか? 何が目的で俺たちを襲う」
「あっ、相棒?」
「……」

 低く寒気のする声を響かせる士郎に、デルフリンガーが戸惑いの声を上げる。

「だんまりか、それとも喋れないのか(・・・・・・)
「……」

 何かおかしい? 何だこの違和感……こいつは一体? これまで様々な者達と戦ってきたことがあるからこそ、白い仮面の男の様子に士郎は違和感を感じた。
 士郎の問いにも視線に動じることなく、白い仮面の男は再び杖を構えて呪文を詠唱し始める。
 士郎にとっては一足の間合いで詠唱を始めた白い仮面の男に、士郎は左手のルーンを輝かせると、一息で斬りかかる。
 
「馬鹿か貴様? この距離で詠唱とはッ!」
「―――ッッ!?」

 士郎の斬撃を慌てて転がってよけた白い仮面の男は、転がった勢いをそのままに距離を取ろうとしたが、立ち上がった瞬間、士郎に首を掴まれて岩壁に叩きつけられた。

「ゴハっ!!」
「さて、それでは俺たちを襲った事情を聞かせてもらおうか」
「ひえぇ〜怖ええな相棒は」

 岩壁に叩きつけた白い仮面の男に、剣を突きつける士郎。普段の姿からは想像できない姿に若干引いた声を出すデルフリンガーを無視し、士郎は白い仮面の男を脅しつける。

「素直に吐くか、無理やり吐かされるか……どちらを選ぶ?」
「……」

 無言で仮面越しに睨みつけて来る白い仮面の男の様子に、士郎は皮肉げな笑いを口元に浮かべた。

「魔法で戦うならば、姿を隠して攻撃してくればいいものを、わざわざ姿を現して攻撃するなど馬鹿か貴様は……それとも白兵戦で戦うつもりだったのか? ならば、腕を磨き直して出直すんだったな」 
「……っっ!!」
「唯の人形では無いようだな」
  
 士郎の言葉に怒気をあらわにする白い仮面の男に、士郎は揶揄う様な顔を向けた。
 男の首を握り直した士郎は、再び白い仮面の男に問い正す。

「さて、それではもう一度聞こう……貴様の目的は何だ? なぜ俺たちを襲う?」
「……死ね」
「相ぼっ――」

 白い仮面の男
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