第二章 風のアルビオン
第三話 襲撃と空賊
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空賊と共に、空賊の船に一緒に乗り込んだ士郎たちは、船倉に閉じ込められる事無く、やせすぎの空賊についていった先は、なぜか立派な部屋だった。後甲板の上に設けられたそこが、頭……この空賊船の船長室であるようだ。
ガチャリと扉を開けると、豪華なディナーテーブルがあり、一番上座に先ほどの派手な格好の空賊が腰掛けていた。
大きな水晶のついた杖をいじっている。どうやら、こんな格好なのにメイジらしかった。
頭の周りでは、ガラの悪い空賊たちがニヤニヤと笑って、入ってきたルイズたちを見つめている。
ここまでルイズを連れてきた痩せぎすの男が、後ろからルイズをつついた。
「おい、お前たち、頭の前だ。挨拶しろ」
しかし、ルイズはきっと頭をにらむばかり。頭はにやっと笑った。
「さて……それぞれ自分の名前とあの船に乗っていた理由を教えてもらおうか?」
「……わたしの名前はルイズ・フランソワーズ・ル・ブラン・ド・ラ・ヴァリエール……わたしたちがあの船に乗っていたのは、王党派への使いとしてアルビオンに行くために乗っていたのよ! だからわたしたちはあなたたちに、大使としての扱いを要求するわ!」
士郎たちが答える前に、ルイズがいきなり前に出て、頭の質問に堂々と胸を張って答えると、士郎は苦笑いしながら頬を人差し指で掻く。
頭はルイズの物言いに驚き、目を丸くすると、笑いをこらえるように片手で顔を覆い、ルイズに質問した。
「プッ、クク。お前、今王党派と言ったな?」
「ええ、言ったわ」
「何しに行くんだ?あいつらは、明日にでも消えちまうよ」
「あなたたちに言うことじゃないわ」
ルイズがそっぽを向いて言い放つと、頭は歌うような楽しげな声で、ルイズに言った。
「貴族派につく気はないかね? あいつらは、メイジを欲しがっている。たんまり礼金も弾んでくれるだろうさ」
「死んでもイヤよ」
士郎は体を震わせながらも、頭に堂々と言い放つルイズを、眩しいものを見るように目を細めて見つめていた。
俺の周りの女性は、どうしてこう強い女性が多いんだろうな……士郎は昔を思い出すように、一度目を閉じ、口から息を漏らすように笑った。現状は最悪といっていい状態であるが、士郎は危機感を感じていなかった。何故ならばこの空賊の正体を、士郎はある程度予想出来ているからだ。
「もう一度言う。貴族派につく気はないのか?」
ルイズはきっと顔を上げると、腕を腰に当て、胸を張った。
「さっきから言ってるでしょ! 殺されたってつくもんですか!」
「フフッ……トリステインの貴族は、気ばかり強くってどうしようもないな。まあ、どこぞの国の恥知らずどもより、何百倍もマシだが」
頭はそう言って、わっはっは、と笑いながら立ち上がった
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