第二部 文化祭
第43話 きっと変わらない日々
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イに目を留める。
「……小さい頃からここにいたから、本質的には怖いと感じないのかもな」
「だとしたら、少しずつ記憶が戻ってくるかもね」
「だったらいいな……」
和人の言葉に深く同意する。しかし、明日奈はその思いとは裏腹に、ずっと今のままがいいという思いもあった。
その理由は──
「ね、キリト君。ユイちゃんの記憶が戻ったら、もちろん嬉しいけど……同時に、なにかが終わってしまいそうで……ちょっと、寂しい」
明日奈は少し俯き、言う。
「だって……出会って間もないけど、ユイちゃんはなんていうか、本当にわたしとキリト君の子供のような気がしてきて……。もしユイちゃんの記憶が戻ったら、もう『パパ、ママ』なんて呼んでくれないだろうなって」
「ま、そうだろうな」
「……」
「でも、俺達がユイと過ごした日々は変わらないし、消せないよ。家族みたいにとはいかずともさ、また一緒に遊んでやったりすることはできるだろ?」
「キリト君……」
明日奈は目を見開いた。そして思わず吹き出す。
和人が傷ついたような表情をした。それもまた可笑しくて、更なる笑いを呼ぶ。
「……我ながらハズカシーこと言ったなぁとは思ってるけどさ、そこまで笑わなくたって……ていうかここ、笑う場面じゃないだろ。むしろもっと、こう……」
「ふふ。だって、君がそういうこと言うのって珍しいから」
「それを笑われると傷つくな」
じとっと明日奈を一瞥し、ユイの方を向く。
「俺にはお前だけだよ、ユイ……ママはひどいからさぁ」
「ご、ごめんってば! キリト君を傷つけるつもりは……あははっ」
「言いながら笑う!?」
「まあまあ、気にしない気にしなーい。早く奥へ進みましょ」
「勝手ですこと……」
「別に、勝手じゃないもーん」
ぶつぶつ文句を言う和人と、なんだか楽しそうなユイの腕を掴み、長い廊下を歩き出した。
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