それはきっと心の涙
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彼等ともう―――笑い合えない。
「……ひっく…うぅぅう…。」
あぁ、情けない。悲しいのは私だけじゃないというのに。今回の壁外調査でも仲間を家族を殺された人はたくさんいる。そんな事分かってる。だけど、私の涙は止まらない。みっともなく、流れる続ける。
「この税金泥棒が!!!!」
罵倒とともに薪が一本こちらにとんできた。隊長がそれを打ち落としてくれる。
―――――――あぁ。私達は何のために戦ったのだろうか。
ふと隣を見ると、隊長はもう動かなくなった彼等を、いつもの無表情で見つめていた。その表情にも目にも、悲しみという感情は見受けられない。
隊長は……彼は、仲間の死や罵倒に何も感じていなのだろうか。
気まぐれか、気遣いか、隊長が私にかけてくださった上着をぎゅっと握り、私も隊長みたいに強くなれたらな…と、思う。
その一方で、その冷徹さに少しだけ恐怖した。仲間の死に何も感じなくなったら、私はどうなるのだろう。少しだけそうなった自分を想像したら、怖かった。
「――――考えろ。」
「……はぃ。」
先程まで自分の感情に任せて言葉をつむぎ続けていた私に隊長は淡々とした声音で両断する。
何で私達が死ぬのか。私達は何のために戦って居るのか。私は何をすれば良いのか。
もしかして隊長なら答えを知って居るかと思ったぶん、その答えとは言えない答えに少しだけ失望した。勿論、そんなのはただの自己中心的考えである事を知っている。
でも、いつも答えを淡々と答えてくれる隊長ならば、もしかしたら…と思ったのも、また事実だ。
途方に暮れて、かみ殺していた嗚咽がまた情けなく零れ始めた。
隊長はそんな私をいちべつしてから、曇天の空を見上げる。
あぁ、どうして―――隊長ほどの腕がありながら、一緒にいた私の仲間達は死んだのだろうか。隊長なら、仲間を殺させずとも出来たのではないか?……いや、戦場はそんなに甘くない。守りながら戦うなんて不可能だし、だから隊長は最善をつくした。実際に巨人はかなりの数が彼の手によって討伐されている。でも……もし、隊長なら…!!
嫌な思考が止まらない。幼稚な八つ当たりだけど、それでも、もし、もしかしたら…。
―――――――ツゥ…。
「っ。」
…………あれ?
いつも無表情で何も感じていないような隊長だ。だから、そんなはずはない。
けれど、何でだろう……
―――――何故か隊長が泣いたように見えた。
「……ぇ。」
もう一回彼の頬を見てみると、涙の流れた後は無い。なんだただの見間違いか。あはは、何か馬鹿みたいだ。
でも、本当に泣いていたかのようなその姿にチクリと胸が痛んだ。
………………もしかしたら。隊長だって悲しんでいた…のかもしれないなぁ。
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