第6話 男は死ぬまで男を貫く! 古き極道の古き喧嘩道
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轟番はとても不機嫌であった。自室の布団の上に寝転び、ただただ天井の模様を見上げているだけ。そんな時間を過ごしていた。
番の胴回りには分厚く包帯が巻かれており、その光景がとても痛々しく見られた。
先日戦ったクレナイバンチョウとの戦いで負った傷は幸い骨にまでは到達しておらず、かなり痛むが2〜3日の間安静にしていれば治る程度の傷で済んだのは幸いな事でもあった。
だとしても、番の不機嫌さが晴れる要因にはならずにいる。例え女だとしても喧嘩に負けてしまった事は事実。その事実が番にはとても不快に思えていたのだ。
「アイツ……もう来なけりゃ良いんだが」
番にとって女は天敵と言えた。扱い方も下手だし、第一番は女に手を上げる事が出来ないのだ。そんな番にとって先日戦った木戸茜は正に天敵と呼べる存在に他ならなかった。
「………」
しばしの間、番は黙り込み考え事をし始めた。しかし、元々考える事とか頭を使う事の類が苦手な番が、そんな事など出来る筈もなく、次第に番の顔中に冷や汗が流れだしていく。
「駄目だ! 考えてたって埒が開く訳じゃねぇんだ!」
このまま部屋に閉じこもっていては返って気が滅入ってしまいそうになる。それに、どの道暇を持て余す結果となる。別に動けない程の傷じゃないのに部屋に閉じこもるのは番らしくない。
自分自身にそう言い聞かせつつも番は部屋を出る。不思議と家の中は静かだった。どうやら母と弟は出かけており、現在家の中には番だけのようだ。
それならば今バンチョウと話してても何ら問題はなさそうだろう。
そう内心思いながらバンチョウが居る筈の車庫へと繰り出す。其処では軽トラックのバンチョウが佇んでいた。
そして、そのバンチョウを弟の真と母の恵が楽しそうに洗っている光景が見て取れている。
「どう? 綺麗になった気分は」
【最高の気分だ。感謝するぜ】
「バンチョウ、こっちも終わったよぉ」
其処には楽しそうに語り合う真、恵、そしてバンチョウの姿があった。
その光景を目の当たりにした番は思い切り空中でひっくりかえり地面に激突すると言うかなり器用なこけ方を見せつつ、足をひくつかせていた。
その振動と音を察知した一同が番の方を向く。
「あれ、兄ちゃん何時起きたの?」
「もうお昼よ番。お腹空いたの?」
何事もなかったかの様な顔で番を見る真と恵の二人。そんな二人に大して青ざめた顔の番が震える指を必死に伸ばしつつ二人を見て口元を振るわせた。
「ななな、何やってるんだバンチョウ!!!」
【すまん番。どうやら初めから二人にはばれてたみたいなんだ】
慌てふためく番に対し、バンチョウは半ば諦めたような口調で説明した。どうやら既に番とバンチョウの事は恵にばれてしまってたらしく、弟の真も母の口からそれを聞き、そして今日、バンチョウ
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