悪魔が下僕
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散歩中は飼い主の許可無く人間の言葉を使ってはいけないので、私は鳴き声で意思を伝えようとしてみせた。今の引っ張り方は少し苦しいと。
「あ、ごめんね? ちょっと休もうか」
まどかはベンチに腰掛けて、私はその足元で体育座り――というよりは、犬座り。
「エサの時間にしよっか」
差し出されるビーフジャーキーが人間用であるのが、お散歩プレイ中の私に対する唯一の人間扱いだ。あとは尿意があれば電柱への放尿を強要され、靴を舐めたり、投げたフリスビーを口に咥えて取って子させられたりする。
「あむっ……」
まどかに食べさせてもらったせいか、それはとても美味しく感じた。
「はい、あーん」
「あ、あむぅっ」
まどかの手で食べさせてもらう。私も私で、こういう瞬間を待ち望んでいた気がしなくもない。
「他にはどんなエサが欲しい?」
「わん!」
私は乞うような上目遣いでまどかを見上げる。
「私が欲しい?」
「わん!」
私は頷く。
「しょうがないなー。こっちにおいで? ついでに人間の言葉を使っていいよ?」
「まどかぁ!」
許可を得た私はまどかに飛びつき、ベンチへ押し倒して口を貪る。強引なまでに唇に舌を押し込み、胸を揉み、肌を擦り付け全身でまどかの体温を味わった。
「えへへ、ほむらちゃんはエッチだなぁ」
「だって、まどかが可愛いんだもの。あなたは最高よ」
首筋へ吸い付き、下腹部へ手を伸ばす。
「あっ……そこは……!」
まどかの甘い鳴き声が私の耳をくすぐった。
「とても可愛いわ。まどか」
「もう、駄目ってば」
私は本当に犬かもしれない。美味しいまどかにがっついて、まどかはじゃれる犬を受け止めるかのように私を抱き止め、愛撫に頬を染めている。私の指先でまどかのショーツは濡れ始め、どことなく吐息も色めいてきた。
そんなこれからというところで、まどかは私の肩を掴んで制止する。
「はい、ここまで」
「そんな……!」
おあずけを喰らった私は、ひどく絶望的な顔をしてしまう。
「ワン」
その一言で、遠まわしに犬語に戻れと告げられる。
「……わんっ」
私は再び人語を禁止された。
「続きはお家に帰ってからね? ほむらちゃん」
「わん!」
私は安心して、喜んでまどかの顔に頭を擦り付けた。まさに懐いた犬の挙動だ。
「はい。それでは一旦帰りまーす」
チェーンを引かれ、四つん這いで歩かされ……。
自分の家では家族がいるからか、帰った先は私の家だ。合い鍵はまどかが預かって、まどかは自由気ままに私の家に出入りする。玄関から上がる前に私はタオルで手足を拭かされた。
「ではほむらちゃん? お体を綺麗にしましょうね?」
私が最初にされたのは、風呂場で体を洗われることだった。石鹸を手で泡立て、背中に指を這わせてくる。
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