第100話
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さん、前にオルソラ嬢を助ける為に戦った時、麻生に命を救われたんだよな。
そのお礼を返したいって言ってただろう。
だから、お前さんが一番適任よな。」
確かに五和は麻生に恩を感じている。
麻生がやってきたのが例え偶然だとしても五和は深く感謝していた。
その事を天草式のメンバーには何度か話していたのだ。
「ちなみに他の奴はもう移動したよな。」
「えっ!?」
五和は周りを見渡すと部屋にいた天草式のメンバーがいつの間にか消えていた。
部屋の中にいるのは五和と建宮のみ。
「さて、俺も俺でする事がある。」
建宮は五和の肩に手を置いてにっこりと笑って言った。
「まぁ、頑張れよな。
お前さんを応援しているよな。」
建宮はそれだけ言って、部屋を出て行った。
五和は部屋の中でただ呆然と立ち尽くすしかなかった。
そして、今に至るという訳だ。
未だに五和はガチガチに緊張している。
それを見た、麻生ははぁ〜、とため息を吐く。
「それで、これからどこに向かえばいいんだ?」
麻生に質問されるが、麻生の前に立って話をしているだけで頭が真っ白になり、迎えに行くまで観光プランを考えていたのが一瞬で真っ白になる。
「え、ええ、えっと・・・・・」
何をどうしたら良いのか分からなくなり、軽いパニック状態になる五和。
それを見た麻生はさらにため息を吐くと、鞄を地面に置いて五和の両肩に両手を置く。
「とりあえず、落ち着け。
ほら、深呼吸。」
「は、はい!!
すぅ〜〜〜〜〜〜はぁ〜〜〜〜〜〜〜。」
「どうだ、落ち着いたか?」
深呼吸すると少し落ち着いたのかゆっくりと麻生の顔に視線を向ける。
だが、麻生の顔をチラリと視界に入ると、途端に顔が熱くなりまた慌ててしまう。
(いつになったらこの無限ループから抜けられるんだ?)
ヴェネツィアに来て一〇分。
早速、不幸な出来事やら面倒な出来事やらよく分からない事が起こり、麻生は疲れたような表情を浮かべた時だった。
「あの〜もしもし。」
突然、横から男の人に話しかけられる。
彼が話している言葉はイタリア語だが、麻生はこの世界の言葉ならほとんど話す事が出来るので、何を言っているのか理解できた。
「何ですか?」
「君の鞄、置き引きされているよ。」
「へっ?」
言葉をあげたのは麻生ではなく五和の方だった。
麻生は後ろを見ると、二人組を男達が麻生の鞄を抱えながら走っているのが見えた。
その先には一台の車が止まっている。
麻生が五和の介護をしている最中に取られたようだ。
麻生も麻生で気を抜いていたので全く気がつかなかった。
男達はニヤニヤ、と笑いながらこちらを見てい
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