第100話
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それを見た麻生はゆっくりとその影に隠れている人物に近づいていく。
すると、その人物の独り言らしき声が聞こえた。
「何で建宮さんは私を一人だけにして迎えに行かせたのですか!
話おろか、まともな面識すら持っていないのに!」
独り言に夢中なのか麻生がすぐ後ろまで来ているのに気がついていないようだ。
その人物の独り言に建宮という名前が出てきたので、麻生はこの人物が天草式の出迎えなのだと判断する。
「おい、あんたは天草式の人か?」
一応、確認を取る為に話しかける。
「ひゃあい!!」
突然話しかけられたのか、悲鳴に似た返事が返ってくる。
その人物はゆっくりとこちらに振り返る。
二重まぶたが印象的で髪はショートの女の子だ。
「お、お待ちしてました。」
オドオドしながら女性は麻生に話しかける。
しかも、麻生と目を合わせず視線を逸らしている。
「建宮は来てないのか?」
後ろには誰もいない事を確認した麻生は質問する。
「そ、それが、き、急な用事がででできて、しししまって。」
緊張しているのか噛みながらも話をしてくる女の子。
とりあえず麻生は無視して話を続ける。
「急な用事?」
「こ、ここにはオルソラさんの住まいがあ、あって、ろろろ、ロンドンのイギリスじょ、女子、女子寮に引っ越す為にか、家具の移動を・・・ッ!!」
「あ〜、そろそろツッコむがどうしてそんなに噛むんだ?
あと、どうして視線を逸らす。」
「〜〜〜〜ッ!!」
麻生が無理矢理視線を合わせようとするとその女の子は顔を真っ赤にして全力で顔を逸らす。
(む、無理無理無理!!
私一人だけであの人を・・・麻生さんを案内できないですよ!!!)
女の子こと、五和は数時間前の出来事を思い出す。
「えっ、私が一人であの人を迎えに行って、街を案内するんですか!?」
それは天草式が宿泊している宿での事。
五和は建宮に呼ばれたかと突然、麻生を迎えに行けと言われたのだ。
それも一人で。
「ど、どうして私が!?
建宮さんが迎えに行く予定だったじゃあありませんか!?」
「まぁ、確かにその予定だよな。
だが、ちょいと急用ができてな。」
「急用ですか?」
「そう、オルソラ嬢が今住んでいるこのキオッジアの家から家具を移動するのを手伝う事になったよな。
オルソラ嬢もイギリス清教の一員、そろそろ引っ越しするから手伝いを要請されたよな。
んで、麻生ももうすぐこのヴェネツィアに来て、迎えも出すって紙に書いたよな。
誰かが迎えに行かないと駄目だろ?
だから、お前さんに迎えに行かせる事に決まったよな。」
「ど、どうして私なんですか!?」
「お前
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