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八条学園怪異譚
第四十三話 白蛇その十八
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「ゴキブリじゃなくてもダニとか湧きますから」
「せめて一週間に一回位は」
「毎日しないと」
 やはり愛実の方が厳しかった、こと家事関係については。
「駄目ですよ」
「愛実ちゃん厳しくない?」
 茉莉也もその愛実に対して少し引いて返した。
「毎日って」
「私普通にしてますよ」
「そうなの」
「時間を見つけて少しでも」
「何か学校の勉強みたいね」
「勉強はじめる前には絶対にしています」
 こうしたところが愛実であろうか、とにかく清潔第一でありこのことに関しては聖花よりもしっかりしているのだ。
 それでだ、茉莉也にも強く言うのだ。
「ですから先輩も」
「ううん、毎日なのね」
「はい、毎日です」
「それはやり過ぎでしょ」
 茉莉也にしてみればそうだった、ずぼらな彼女にとっては。
「私そうしたことはね」
「女の子なんですから」
「うわ、本当にお母さんみたいなこと言うわね」
「そもそも神社の巫女さんなら清めますよね」
「清めないといけないところはね」
 かなり重要な言葉だった、このことは。
「お風呂だって毎日入ってるし」
「だったらお部屋も」
「だからそういうのはいいじゃない」
 まだ言う茉莉也だった、勘弁して欲しいという顔で。
「私はずぼらなお母さんでいいのよ」
「既にずぼらなお姉さんで、ですよね」
 愛実よりは厳しくない聖花もこう言う、やはり彼女も店の娘であり見過ごせないものがあるのだ。
「それでそのままっていうのは」
「人間失格とか?」
「そこまでは言わないです」
 しかしだというのだ。
「けれど綺麗にしないと衛生的にもよくないですから」
「だからなのね」
「少しはお掃除しないと」
「うう、私今日は言われっぱなしね」
「しかしその通りだな」
 暫く黙っていたうわばみもここで言う。
「日下部さんの話は聞いたな」
「海軍は毎日お掃除してたっていうのね」
「そうだ、天理教の教会の奥さんも言ってたな」
 茉莉也にとっては優しいおばさんである、尚天理教では女性の教会責任者、即ち会長さんも多いし奥さんでもかなりの力がある。
「まずは綺麗にすること」
「そこからなのね」
「そうだ、いつもとは言わないがな」
「たまにはっていうのね」
「そうしたらどうだ」
「じゃあ明日朝起きたらしようかしら」
 早朝からだとだ、茉莉也は言った。
「それじゃあね」
「そうしろ、ではだ」
 うわばみは掃除の話はこれで終えた、そのうえでこうも言うのだった。
「飲むか、あらためてな」
「はい、それじゃあ」
 この言葉に応えてだ、そしてだった。
 うわばみも入れた四人は教室の中で飲み続けた、掃除の話はしたがそれでも飲むこと自体はかなり楽しんだのであった。


第四十三話   完


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