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儚き運命の罪と罰
第一章「P.T事件編」
第一話「二つの運命が交差する時。」
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そう前起きして思いついたことを聞いた。

「お前ずっと起きていたのか?」

「ずっと…と言う訳じゃあ有りませんが坊っちゃんよりは大分早く起きてましたね。」

「なら、僕にこの毛布をかけたのは誰だ?」

そうリオンは手当てされていた。明らかに人為的なものだ。それも起きて今すぐ動けそうな位丁寧に手当てされていた。

「そうですね…顔色の悪い紫色の髪をした女性でした。」

「紫色の髪…?」

オベロン社に所属していたイレーヌと言う女を連想したが
・・・それは無いだろうとリオンは思い直す。
もし彼女ならシャルティエがそんなぼかした言い方をするわけがない。
それに幾ら情にあつい人間だろうと最終的にはリオンはオベロン社をも裏切ってスタン達を助けていた。
もし仮にそれを知らなかったとしてもあの崩れる洞窟の中に飛び込んで他人を助ける、そんなお人好しなんてリオンには「彼等」しか思いつかなかった。

「・・・ッ。」

やめよう、奴らのことを考えるのは。
そう思ってしまう程度にはリオンは彼らのことが気に入っていた。

「・・・・・・・・・・」

シャルティエもそれを察したのか黙していた。

そんな時、

パシーン・・・・パシーン

そんなかすかな音が聞こえてきた

「?何の音だ...?」

「なんだか他の音も聞こえますね。・・・いやこれは音と言うよりも・・・声?」

シャルティエの言うとおり、なにやら女性と少女のものと思しき声も聞こえていた。

ベッドから降りて、リオンは傍に立てかけてあったシャルティエを腰にさした。

「坊ちゃん、大丈夫ですか?」

一応は病み上がりであるマスターにそう尋ねる。尤も、

「僕を誰だと思ってる、シャル。」

返ってくる答えなど、これ以外に存在しえないことを知っていたが。

「そうですね...では、行きましょうか。坊ちゃん。」

「ああ、行くぞシャル。」

天才剣士、そう評されたソーディアンシャルティエのマスター。悲劇の運命に生き、そして儚き運命の中「裏切り」と言う罪に散り、仲間を捨て一つの愛に殉じた少年、リオン・マグナス。

彼はこの世界において、初めての一歩を踏み出した。
未だリオンはこの世界が異世界であることはまだ知らないが。

「取りあえずは、この音の発信源に行くとするか。」

「特に敵は居ないみたいですけどね...。」

「いた所で問題ない。斬り捨てるのみだ。」

「油断大敵ですよ。坊ちゃん。」

「油断...?何時誰が油断したと言うんだシャル。」

そんな会話を交えながら進む。

忘れてはいけない。リオンもシャルティエも幾多の修羅場を越えてきたそれぞれが百戦錬磨の強者だ。シャルティエだって
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