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ヘタリア大帝国
TURN96 ランス=ハーンその二

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「私にいつも」
「ははは、わしは可愛い娘には優しいぞ」
 伊藤はその顔を綻ばさせて応えた。
「それも存分にね」
「首相は昔は慣らしたからのう」
 山本もその伊藤のことを楽しげに話す。
「わしも首相を見習ってきたからな」
「いやいや、わしも提督には負けるぞ」
 伊藤は伊藤でこう返す。
「その遊びにも見せる見事さはのう」
「そういえば首相は遊びは女だけじゃな」
「うむ、博打には興味がない」
 こう山本に答える。
「そっちにはな」
「そうじゃったな」
「しかし食道楽の方はな」
 伊藤は楽しげな笑みを浮かべて話す。
「それに酒もじゃ」
「そっちもじゃったな」
「しかし贅沢でなくともよい」
 美食には興味がなかった、食道楽であっても。
「新鮮で美味ければな」
「刺身に梅干か」
「よいのう」
 こうしたものが伊藤の好物だった。
「特に河豚がな」
「河豚?」
 河豚と聞いてパルプナが怪訝な声をあげた。
「それ何?」
「魚じゃよ、これが美味い魚でな」
「美味しいの」
「うむ、美味いのじゃ」
 伊藤は河豚についても笑顔で話す。
「それもかなりな」
「そうなの」
「刺身に鍋に唐揚げにな」
 その料理の仕方もざっと挙げていく。
「かなりの美味じゃ」
「それだけ美味しいの」
「そうじゃ、今度お嬢ちゃんもどうじゃ」
 伊藤は優しい笑みでパルプナに言う。
「食べに行くか」
「私は」
 だがパルプナは怯えた顔で伊藤に返した。
「それは」
「いやいや、怖がることはない」
 伊藤は怯えるパルプナを安心させにかかった。
「特にな」
「そうなの?」
「わしは女好きじゃが食べ物で釣ることはしない」
 それはないというのだ。
「ただ一緒に食べたいだけじゃ」
「そうなの」
「そんなパワハラやセクハラはせぬ」
 このことを保障する。
「決してな」
「首相さんはそうなの」
「色々と言われておるがな」
 伊藤は憮然とした顔も見せる。
「おなごには節度を持っておるつもりだ」
「一度酷い濡れ衣があったな」
 柴神が言って来た。
「首相の若い頃にはな」
「全く、人妻を草陰でだと」
 実際にこうした話がありかなりのスキャンダルになった。
「わしはそうしたことはせぬわ」
「首相は遊ぶ相手は選ぶな」
「地方でも名の知られておらぬ風俗嬢を相手にしておる」
 そうしているというのだ。
「地元の有力者と縁のありそうなのは絶対に選ばぬ」
「ホステスもだな」
「確かに同伴やアフターは好きじゃ」
 伊藤の趣味でもある。
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