第四十六話 俺ってそんなに嫌な奴か?
[2/5]
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
無しか、戦争の基本は補給と戦略、昔から少しも変わっていない。
「国内状況は問題無しか……」
「改革が順調に進めば問題無しだ」
「改革か……」
以前から考えていたのだろう、帝国の実権を握ると最高司令官は直ぐに改革を始めた。
これまで誰も為し得なかった劣悪遺伝子排除法を廃法とし、改革派、開明派と呼ばれる人間達を集めて貴族達の特権を抑え平民達の権利を拡大しようとしている。順調に進めば平民達の支持は絶大な物になるだろう。これまでは軍人として支持されていたが今後は国家指導者として支持される事になる。出兵も支持されるだろう。
「メルカッツ軍務尚書とケスラー憲兵総監が艦隊を維持しているのもそれが理由だ。出兵が決まれば彼ら二人の艦隊が国内の留守部隊になる」
「なるほど……」
着々と進んでいる、そう思った。多くの将兵が昇進と新たな任務に一喜一憂している時、最高司令官は既に前に進んでいる。ぞくりとするものが有った。彼にとっては帝国の覇者というのは最終目標ではないのだろう。
「分かっているか?」
「うん?」
俺が生返事で返すとメックリンガーが含み笑いを洩らした。
「二正面作戦の一方は卿が総司令官だぞ」
「俺か……」
メックリンガーが“そうだ”と言って頷いた。なるほどメルカッツ軍務尚書が国内に残る以上、総司令官は俺だろう。
「どっちだ?」
「フェザーンだ」
「ではフェザーン方面は助攻か……」
「違う、フェザーン方面が主攻だ。動員兵力もそちらが多くなる」
「……」
思わずまじまじとメックリンガーを見た。彼がゆっくりと頷く。
「イゼルローン要塞は閣下が自ら攻める。反乱軍は防衛のために戦力をイゼルローン要塞に集中するはずだ……」
「そこを突く、そういう事だな」
「そういう事だ」
言い終えてメックリンガーがグラスを呷った、俺も残りを一気に飲み干す。そして互いのグラスにワインを注いだ。
「反乱軍が慌てふためいて軍を返した時、イゼルローン要塞を攻略し回廊を突破する、最高司令官はそう考えている」
「反乱軍はイゼルローンとフェザーンの間で右往左往すると言う事か」
「効果的な迎撃は出来まい」
「うむ」
なるほど、しかし……。
「イゼルローン要塞はそう簡単に落とせるとは思えんが……」
俺の問いかけにメックリンガーが首を横に振った。
「要塞攻略については最高司令官閣下が責任を持つ。攻略案は有るようだ、心配はいらないと言われた」
「そうか……」
攻略案は有る、つまり一旦作戦が発動されればフェザーン、イゼルローン両回廊を突破して帝国軍艦隊が反乱軍の勢力圏に雪崩れ込むと言う事だ。
「統一は間近か?」
「そうなるな、この宇宙から戦争は無くなるだろう。最高司令官は反乱軍の領土の統治案を検討するチームを密かに
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ