第一物語・後半-日来独立編-
第五十三章 その場所へ想い走らせたならば《4》
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最近は大きな動きは見せていなかった。
だが、
「国同士の覇権争いの場となった世界統下連合は今まで大きな動き見せていないが、日来が動くことによって嫌でも動かずにはいられなくなった。
なんせ制圧戦闘の頂点に立つこの世に二艦しかないラグナロク級戦闘艦をも越す、航空船最大級のジズ級、いわば超ジズ級となった存在が現れたんだ。のうのうとお務め出来無いだろうよ。もしラグナロク級をも越す日来が航空船ではなく戦闘艦だった場合、容易く一つの地域は落ちるからな」
「大きさは脅威に比例する。そんなことが黄金時代に言われていたわね」
「ただデカければそれだけで世界に日来をアピール出来る。誰も無視なんて出来無いだろうよ」
「本気でやる気のね」
「本気でやんなきゃ早々に終わるからな」
左手から出る流魔線をセーランは掴む。
実之芽の左足と繋がっている流魔線は、一直線にお互いを繋げていた。
淡い青の糸が張るなかで、一つ息をセーランは吸う。
これから大仕掛けを行う。
それによって内部流魔はかなり削がれるだろうが、こうもしなければ捕らえることは出来無い。
息を整えたところてで、動いた。
流魔線を一気に縮めた。
開いていた実之芽との距離を一気に縮めようとし、縮む勢いによってセーランの身体が浮いた。
左の手が前へ引っ張られるのを、無理に体勢を変えることで防いだが、それによって姿勢が乱れた。
このままでは縮む勢いに身体が負け、地面にずられる形となってしまう。だからセーランは、突き出した右足から二本目の流魔線を出した。
繋げる場所は実之芽の足元近く。
手から出る流魔線よりも縮まる速さを速くして、下半身が先に出るようにした。
「二本目、使えたのね」
口から出る言葉。
言った実之芽は言うだけで、特に回避の行動は見せなかった。
自身の足に流魔線が繋がっているのだ。例え避けようとしても、繋がっている流魔線を頼りに後から追ってくる。
厄介だと思った。
何をするかは分からない。だが、近付いてくるのだから接近戦の確率は高い。
体勢をそのままに、変に緊張して力まないように努める。
迫る勢いで来るセーランを見て、攻撃を行う機会を伺う。攻撃を行う隙があるとすれば、それは一瞬かもしれない。それならば、その一瞬で決めればいいだけのこと。
そして、来た。
「おおおおおお――!」
叫び、来るセーラン。
真っ直ぐに実之芽へと迫る。
距離はあっという間に縮んでいき、気付けば後数メートルというところまで来ていた。だがセーランは止まる気配も、速度を落とす気配も無い。
勢いそのまま、一瞬で勝負を付けるために。
手を抜くことの出来る相手ではないことは解っている。
だから決めるならば一瞬だと、セーランは思った。
勝負
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