第一物語・後半-日来独立編-
第五十三章 その場所へ想い走らせたならば《4》
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流魔線を相手の身体に繋げることなど、よくよう考えれば一番早く気付く手だ。繋げれば、内部流魔がある限り流魔線を伸ばし、その流魔線を起点とした攻撃が行える。
考え過ぎかもしれないが、日来の長の言葉も注意を逸らすための手段だったのかもしれない。
思考を動かし、実之芽は考えた。
これから行われる攻撃を。
かなりのパターンが考えられるなかで、特に注意したのは接近戦。遠距離ならばこちらが有利だが、接近戦は自分が不得意だ。
元々体力が多いわけでもなく、疲れが貯まっているせいもあるのか、最近は身体がやけに重たく感じる。
それによって生じる行動の乱れは、敗北という結果を一気に近付けさせる。だから、注意するのは接近戦。
視線は真っ直ぐセーランに向け、何時でも動ける体勢を取る。
「俺はさ、この世界を少しでもマシにしたいって思ってんだ」
「急に何を言っているの」
「まあ、聞けって。日来の大人達もそう思っててさ。日来が世界から省かれた者達の溜まり場っていうのもあるかもしれねえけど、誰もがこの世界に対して不安や疑念を抱いてる。
国は隠してるけど、崩壊進行が少しずつだけど早まってる状況だ。それなのに国々はまともに手を取り合おうとしない」
分かるか。
「このまま崩壊進行が進めば、国々は残された創生区域を求めての戦争を引き起こす。今はまだ表面上では手を結んだように見せているが、どんなに強い人でも恐怖には敵わない。必ずと言っていい程、各国は生き残るための争いを始める」
「貴方達日来は世界を少しマシにするために、崩壊進行の解決に挑むのよね。世界を相手に」
「こんなことするのは人類史上初めてだからな。何処も必要以上に日来を警戒しているだけさ。まずは各国の協力を仰ぐことから始める予定だ」
「でも世界は甘くないわ。意味、解るでしょ」
聞くまでもなかったが、確認のため聞いた。
それは誰もが常識として知っている、ごく当たり前のことだ。
世界を相手にするならば、まずその組織が立ち塞がる。
「世界統下連合だろ」
世界統下連合。
それは世界の中心とも言える、人類を管轄する組織。
唯一の中立国である二印加奈利加|《トゥーエン・カナリカ》所属、ジスアム・ネワールドを中心に置く大組織だ。
二印加奈利加は国自体がこの組織であるが、かといって殆どの世界統下連合の役員が二印加奈利加所属の者ではない。
本部が二印加奈利加にあるだけであり、各国に一つの支部が存在する。
役員は全て社交院所属の者で、学勢時代に覇王会を務めた者が殆どである。
全ては世界のため、という言葉を胸に行動し、世界に影響を与える程の権限を持つ。勿論、神州瑞穂にも支部はあるが今は関係無い。
しかしこの世界統下連合も、もはや国同士の覇権争いの場となっており、ここ
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