第一物語・後半-日来独立編-
第五十三章 その場所へ想い走らせたならば《4》
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の回避。
後からセーランのいた場所へ鞭が振り下ろされ、コンクリートの地面は微かにへこみ、黒に染まった。
熱によって煙も上がっており、威力の程を思い知らせる。
「マジで食らったらやべえよ、それ。気休めの避雷針でも立てておこう」
と、言いセーランはまた青い棒を地面に刺した。
「残念ね。私の雷は私自身が狙いを定め、操作出来るの。刺してある棒には行かないわ」
「げ、本当かよ。ならどうしようかね……」
言いながら、横から来た雷の鞭を避ける。
そして鞭から新たな雷が、避けたセーランに向かう。
盾を創り出し、防ぐセーランは盾を流魔分解し新たに棒を創り出して実之芽に向かって放った。
割れ、複数に増える棒。
今までと変わっていないと思いきや、複数ある棒のうち、一本のみに流魔線が繋がっていた。
それに気付かない実之芽は雷の鞭を棒を振り払うために振り、全ての棒を振り払う筈だった。が、外側にある流魔線を繋いだ棒がいきなり平らになり、盾へと変形した。
盾は宙にある。だから盾を支えるために盾の背から三本の棒が地面へと突き刺さる。
突き刺さったところに、丁度正面から雷の鞭が来た。
結果は雷の鞭が勝った。
しかし、盾はきちんと役目を果たした。
盾が砕かれる前に、他の棒は実之芽との距離を詰めていた。
振り抜く前に棒に当たると判断した実之芽は、雷の鞭を消し、足技に雷をまとわせた合わせ技によって棒を回避に必要な分だけ打ち落とした。
右足を軸に左脚による回転技。
流れを止めずに身体が反転したところで左足を地面に付け軸とし、今度は右脚による蹴り上げ。
砕かれる冷たい音が響き、棒は流魔へと戻っていった。
残された棒は実之芽に当たることなく、何故か複数に割れて更に細くなり、地面へと突き刺さる。
もしかしたら複数の棒を更に複数に増し、数でこちらを圧倒しようとしたのかもしれない。
実之芽はそう思った。
だが無駄だ。
「幾ら数で押そうとしても、この御雷神|《タケミカヅチ》は大規模制圧型の神化系術。私からすれば、既に辰ノ大花全土はこの御雷神の効果範囲内。貴方だけじゃ私には敵わない」
「そりゃあ驚きだ。だけど一気に辰ノ大花全土を攻撃出来るわけじゃねえだろ? なら勝機はバリバリあるぜ」
「何を言ってるの?」
「足元、よく見てみな」
「足元……?」
言われ、下を見た。
「――これは!?」
流魔線だ。
流魔線が左足に繋がれていた。何時の間に、とは考えるまでもない。
先程の足技を行った時に繋げられたのだろう。
油断していた。
今まで棒による攻撃だけを行っていたのは、棒に意識を向かせるため。単に流魔線を繋げようとしても、何もしてない状況では気付かれると思い、そうしたのだろう。
してやられた。
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