暁 〜小説投稿サイト〜
魔法少女リリカルなのは 〜優しき仮面をつけし破壊者〜
A's編 その想いを力に変えて
41話:過去の記憶と想い
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んだから、さ…」

と首の後ろをポリポリと掻きながら、“神”の様子を伺うように見た。
ふむ、と一息入れて腕を組み、考える素振りを見せる。

「そうだな。知っておいてもいいだろう。彼女はその後、お主の死を受け止め、前々から目指していた医者の道を歩んでいった」
「……そうか…」

彼女も…人を救う仕事に就いたのか。
そう思い、俺は目を伏せて小さく微笑む。

「…そうだ。ちゃんとした説明だったな」
「…?」

ゴホン、と一回咳をして、その場の雰囲気を切り替える。

「お主の言う通り、今話した話は生前のお主…城山(きやま)(わたる)が死ぬまでの事実だ。
 そして彼の妹、城山真希。彼女が今お主の夢の世界に存在する理由。それはお主の心の奥に仕舞い込んだ生前の記憶と感情が、そこから僅かに漏れ出したのが原因だろう」

「生前の記憶と感情…」
「おそらく死ぬ直前のお主の気持ち、妹に対する感情が強かったのだろう。本来固く閉ざされたそれらから漏れ出したのだ」
「それが俺の夢に反映された、ということか…」

その通りだ、と言わんばかりに、“神”は顔を頷かせる。

「そしてそれは、神々の中でも予期せぬ事だった。よって議論の結果、お主に渡すものが三つできた」
「何…?」

俺が疑問の声を上げると、“神”は人差し指を俺に向ける。その指先はまっすぐに、俺の胸へと伸びていた。

「まず一つは……お主の奥に眠る記憶だ。それをお主の中から呼び起こす」
「っ!?」

その一言は、俺に驚きと疑問の感情を植え付けた。

「な、なんでそんな事を…」
「閉ざしていたものが漏れ出している以上、いつかは完全に解き放たれるときが来る。勿論それは、正規の解放ではない。その為、お主の体にどんな影響があるかわからんのだ。最悪、お主に死を招く」

“神”の冷静で淡々とした言葉に、俺は眉を寄せる。

「ならば、ここで正規の方法で鍵を開け、お主にいつか訪れる死を回避する。だが、記憶や感情が蘇るという事は、お主には辛い事実を与える事になるやもしれん」
「………」
「そして正規の方法とはいえ、それを呼び起こすのだ。死に至る事はないにしろ、何らかの影響がある筈だ」

そこで一旦言葉を切り、“神”の表情が険しいものに変わる。

「それでもいいのなら―――」



「いいさ」



だがその言葉の途中に被せられた俺の言葉に、“神”は目を見開く。

「そ、即答とは……だがいいのか?記憶の解放によって、お主の精神が押しつぶされる可能性だって」
「御託はいいんだよ。そういうマイナスな考えは、しない方がいい。それによ……さすがに気になるんだよ。妹の事を知っちまった所為で、俺の生前の事まで」

だからさ、と言葉を続ける。

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