暁 〜小説投稿サイト〜
魔法少女リリカルなのは 〜優しき仮面をつけし破壊者〜
A's編 その想いを力に変えて
41話:過去の記憶と想い
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その場か去っていく。

ようやく現状を掴めた彼の妹は、急いで立ち上がり彼の元へ走る。

彼は後頭部を強打したようで、道路は彼の赤い血で染まっていた。その血も、まだ止まりそうにない。

必死に彼の名前を呼びかける妹。体を揺らし、閉ざされている意識を起こそうとする。


そして、奇跡的に彼は意識を取り戻す。

妹は涙を流しながら喜んだが、彼の目が虚ろになっている事に気づく。

その彼はというと、自分の手を伸ばし、妹の頬に触れる。

幸い彼女には目立った怪我はない。その事に気づいたのか、彼は優しく微笑んだ。


―――あぁそうか…人を助けるって、こんななのか…


そして、彼の手は妹の頬を離れ、冷たいコンクリートの上に落ちた。


















「どうじゃった、この話?」

“神”はそう言って俺に問いつめる。いや、どうって言われてもな……

「それ……まるっきり俺の話なんだろ?」

俺は頭を掻きながら呆れるようにそういった。だって流れ的にそうじゃん。そうじゃなかったらここで話す必要性はない訳だし。
それを聞いた“神”は、フ、と軽く笑い、口を開く。

「あぁ、そうとも。この話の主人公は、お主の事じゃ」

じゃがな、と言葉を繋げる。

「この話には、裏話があっての」
「…何?」



「実はこの事故で死ぬ筈だったのは……お主の妹だったのだ」



「……は…?」

“神”からの一言に、言葉が出なかった。どういう事だ?事故だったんだろ?なんで死ぬ人間が決まって……

「まさか…まさかそれって…!」
「そうだ。あの事故で死ぬ運命(・・)だったのはお主じゃなく彼女だったのだ」

その言葉にようやく俺の頭が必死に回転し始め、一つの答えに辿り着く。

「お主の考えている通りだ。彼女はあのときあの事故で死ぬ。我ら神々の間では、そう決まっていた。だが、それをお主が救い、代わりにお主が死んだ」

神々の間で決まっていた運命。それを生前の俺は変えた。たとえ無意識でも、神々の取り決めを変えたのだ。言葉を羅列するだけでもあり得ない事だとわかる。

「それで神々で色々話し合ってな。お主が死ぬ筈ではなかったのと、神々の運命(さだめ)を変えた事への興味も含めて、お主を転生させる事となったのだ」
「興味含めてとか……」

そう言いながら“神”は俺に背を向ける。

「因によ、“神”」
「ん?なんだ」
「その妹……真希は、その後どうなったんだ?」

俺がそう言うと、ほう、と意外そうな声を漏らしながらこちらに向き直る。

「どうしたのだ?そんな事を聞いてくるなど…」
「いや、さすがに気になるさ。生前とはいえ、妹…な
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