暁 〜小説投稿サイト〜
魔法少女リリカルなのは 〜優しき仮面をつけし破壊者〜
A's編 その想いを力に変えて
41話:過去の記憶と想い
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昔々の話だ。ある世界に、一人の青年がいた。
彼はこれと言った特徴もない、どこにでもいそうな只の人間だった。
運動神経がずば抜けている訳でもなく、かといって学力が高いと言う訳でもない。よくてクラスの中で中の上といったところだ。
家庭の方でも、彼に不満はなかった。五つ下の妹がいて、父親は運送会社の社員で、母親も会社員。一緒にいられる時間はそこまで多くはないにしろ、家族で過ごす時間は楽しいものだと思っていた。
ただ小学校、中学校を過ごし、受験を受け高校、大学と進学し、一人暮らしも始めていた。
友人関係もそこそこで、顔は広いが特別親しい関係とまではいかない距離を保っていた。因に顔は準イケメンの部類に入る程。
「昔々って言える程昔でもねぇだろ。普通に現代だろ」
「お主、人の話は最後まで聞くもんだぞ?」
しかし彼は大学までの十八年間……いや、大学に入ってからも、自分のやりたい事…将来の事が決められないでいた。
ただ悶々とした毎日を淡々と過ごす中、自分は何の為に生きるのか、何がしたいのか。彼はそれらをずっと自問自答していた。
――そんな問いができる年頃から…ずっと、ずっと――
それでも、彼はその答えに辿り着けずにいた。
何度も、何度も、それを自らに問い続け…答えの出ない事にもがき、苦しみ……だがそんな事を考えている事を、胸の内に押し込んで。
「意外と重い話だな」
「だから話は最後まで聞かんか」
そんなある日の事だ。
彼は大学の夏休みを利用し、家族のいる家へと帰省する事にした。
必要最低限の荷物を手に、家へと向かっている途中、高校から帰る途中の妹を向かいの道路で見つける。
妹も彼の存在に気づき、道路を挟んで手を振ってくる。
そして信号か変わったと同時に妹は走り出した。彼も走りはしなかったが、妹の元へと歩いていく。
―――だから、気づくのが遅れたのだろう
激しい轟音と共に、視界の端からトラックが走ってきた。さらに悪い事に、そのトラックの進路には彼の妹がいた。
トラックは赤信号で止まれるような速度でもなく、止まる気も見えない。
妹もその事に気づいたが、トラックが迫ってくる恐怖に足を止めてしまった。
彼は思わず走り出した。
考えてではない。ただ目の前にいる妹を助ける為に、走り出す。
トラックが後数メートルまで迫ったとき、彼は立ち尽くす妹を体で押し出す。あまりに急な事に、妹は声も出せなかった。
そしてトラックは無情にも彼を弾き飛ばした。
彼は少し先の道路の上に落ち、ピクリともしない。彼を轢いたトラックは、
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