空白期編
デバイス
[2/2]
[8]前話 [9]前 最初 [1]後書き [2]次話
にかを手渡す。
「・・・え?あの、これって・・・」
「来月の春香の誕生日までに仕上げて、渡す予定だったデバイスよ。美愛ちゃん、このデバイスを完成させてくれないかしら」
美愛が渡されたデバイスは、まだデバイスと言っていいのかわからないほどに未完成。
少し知識を持っているだけの美愛に渡し、完成させてほしいなどと言えるようなものではなかった。
「子供は再び出会うって言ったのよね?なら、その時に春香に渡してほしいの」
「でも、完成させることができるほど構造は知らないし・・・」
いつも楽観的な美愛でも今の状況を大変だとわかっているので、流石に戸惑う。
「イオリの娘であるあなたができないはずがないわ。時間がかかったっていい。ただ、春香に渡して欲しいだけ。それとも、こう言った方がいい?」
「春香を助けられなかったんだから、このくらい引き受けろ」
真面目な、真剣な声と表情でカオリさんは言った。
「ッ・・・わかり、ました」
美愛はデバイスを握り締め、絞り出すように口にする。
そんな風景を、長男であるオレはただ、見つめていた。
オレたちは一人の少女を、犯罪者のもとへ行かせてしまった。
変えようのない事実が、現実を見せていた。
その日、オレたちは始めて明らかな「失敗」をした。
[8]前話 [9]前 最初 [1]後書き [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ