鳳苗演義
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の声が囁く。
本当は「兄妹みたいだ」って言葉が嬉しかったんだろう。
本当は全てさらけ出して伏羲に甘えたいんだろう。
本当は、本当に、本当の兄妹だったら・・・
そんな過程は無意味だって知ってるくせに。伏羲はいい人だけど、それだけだ。赤の他人が私の都合で家族になることなど―――ない。
楽しい時間も寂しい時間も平等に終わりは訪れる。
苗はその夕陽を見てはたと気付く。そろそろ家に帰らなければはやてを気落ちさせてしまう。
彼女は一人でいることに慣れ過ぎているから、私の帰るのが遅くなったら彼女は「苗の帰りが遅いのは自分といるより外にいる方が楽しいからだ」と考え、やはり自分と関わりたい人間はいないのだと考える。他人を攻めることを知らないから、自分に辛い事は自分へ帰結させてしまうのだ。
「いけない・・・帰らないと!」
「ふむ?確かに子供はそろそろ家へ帰る時間だな。どれ、わしがお主の家まで送っていこう」
「いいの?」
「どうせ今日はホテル泊りだ。それに・・・お主とはそのうちまた会いそうな気がするからのう?」
そう語る伏羲はどこか自信あり気だ。その顔に私は少しドキッとした。
――まさか、読まれてる?
内心で一緒に居たいと思い続けているのが態度に出てしまっただろうか。だとしたら恥ずかしい。ああ恥ずかしい。伏羲と一緒に居たがってるなんて、子どもの浅知恵を見抜かれたような気分だ。その我儘に敢えて彼は乗ってあげているという事になる。そう考えると恥ずかしい反面嬉しく思っている自分もいた。そしてその子供のように喜んでいると言う事実が、伏羲にいいように弄ばれた気分にさせる。
「そ・・・そう?」
「うむ、そうだよ」
しどろもどろになり掛けながら、勤めて不自然ではないように聞き返す。伏羲の顔はさっきと同じ笑顔だった。自分の顔は今赤くなっていないだろうか?もしも赤くなっているのなら、どうか夕日がその紅潮を上手く誤魔化してくれますように。
・・・実際には太公望はそんな苗の心の機微を読んで発言したわけではなく、単に苗の素性を確かめるためにまた会うだろうという考えでそれを言っていたのだが。太公望、彼女いない歴=年齢。伏羲だったころも近しい女性は女禍のみだったため世界でも最高クラスに女心と縁のない男だ。(どこぞの3姉妹長女は除く)
何はともあれ二人は歩いて現在の苗の住居、八神家へと足を向けた・・・そのさなか。太公望の下に、王天君が戻ってきた。2人は音もなく、外見も仙術によって最初に苗に出会った時と変わらぬようにしながら融合を行った。
苗の足が止まる。
「伏羲・・・?」
聡い子だ。融合で起きた魂魄のブレを機敏に感じ取ったのだろう。伏羲の姿となればほんの少しだが放つ雰囲気矢気
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