暁 〜小説投稿サイト〜
ソードアートオンライン 無邪気な暗殺者──Innocent Assassin──
ALO
〜妖精郷と魔法の歌劇〜
脱走
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にか動かして一歩目を踏み出す。

幸いながらSAOのステータスを引き継いでいる筋力値は、マイの身体など羽毛枕くらいの重量しか感じていないが、この足の重みはプレッシャーという名の物だろう。

文字通り、マイという一個人の命を預かっているのだから。

通路は無限に続くとも思われた。上下左右のパネルには継ぎ目どころか傷ひとつ無く、自分達が本当に前進しているのかだんだん判らなくなってくる。

たまに天井に現れるオレンジの光源だけを頼りにひたすら歩き続け、ついに正面に二枚目の扉が見えてきたときには思わず二人してほっと息をついた。

扉は先程のものとまったく同じだった。再び、パネルに指を叩きつけてドアを開かせる。

その奥は予想はしていたが、やはりまったく同じような通路だった。

げんなりしながらドアをくぐる。と、驚いたことに、数秒後自動で閉まったドアは、その瞬間何の痕跡も残さずに壁面に溶け込んでしまった。慌ててあちこち触るが、開く様子はない。

マイと顔を見合わせると、彼女は肩を竦めた。

どうせ戻るつもりのない場所だ。顔を上げて、左右を眺める。

通路は、今度は直線ではなく、緩やかな円弧(カーブ)を描いているようだった。またマイにお伺いを立て、同じく右方向へと歩き出す。

ひたひた、と微かな足音を響かせながら、ひたすら進み続ける。

またしても見当識が怪しくなり始めた頃────とうとう壁以外の物が二人の視界に入った。

カーブの内側、ライトグレーの壁に、何かポスターのようなものが貼られていた。思わず駆け寄ると、それはこの場所の案内図のようだった。

長方形のそのオブジェクトの上部には、味気ないフォントで《ラボラトリー全図 フロアC》と書かれている。その下に、簡単な絵図。

それによると、どうやら現在位置は真円形の通路が三階層に重なっている最上部らしい。

アスナとマイが今いるフロアCには、ほとんど何も書かれていない。

だが、下のフロアA、Bには《データ閲覧室》だの《主モニター室》だの《仮眠室》などというものまでがある。

そして、先ほどマイが指差した方向を見当だけでつつーっと人差し指を伝わせていき、その先に記された文字を読んだ途端、アスナの背筋を軽い悪寒が走った。

《実験体格納室》、そこにはそう書かれていた。

「実験体………」

小さく呟いたその言葉は、頭の上の少女の身体を心身から震わせるのに充分な威力を持っていた。

もはや、ここが須郷伸之の非合法研究施設であるのは間違いないと思われた。

確かに、研究の全てを仮想世界で行えば、それを会社に隠蔽するのは容易い事だ。もし秘密が露見しそうになっても、指先ひとつで全てを消すことができるのだから。

そして、この施設の目的
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