第二章 三話 後ろに向かって前進 後編
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賊団に後退の二文字はない!あるのは前進のみ!」
「戦うのでゲスね!」
「馬鹿野郎!んなことやったら死んじまう!……う、後ろに向かって前進だ!」
「はいでゲス!」
こうして、ネージリンスで活動していたスカーバレル海賊団の生き残りは僅か一隻ながらも逃走に成功したのである。
*
惑星シャンプール スカーバレル海賊団の宇宙港
「お、俺が悪かった、だから命だけは……」
「やかましい」
命乞いをする情けないスカーバレル海賊団の一味をタラップから降りた白野は冷厳に切り捨てた。
といっても全面降伏を受け入れた手前、殺すわけにもいかずスークリフブレードの剣の腹で後頭部を瞬時に殴打しただけに済ませたのは白野の0Gドッグとしての誇りのおかげである。
気絶し、白目を剥いて倒れる海賊を蹴って退かすと白野は通信端末を取り出して整備士のハル・バークに連絡した。
「バーク、資材と場所、手に入ったぞ。すぐ始めてくれ。」
「了解」
白野が目をつけていたのはスカーバレル海賊団が使っていた宇宙港の資材倉庫に保管されていた連中の宇宙船の製造材料であった。
本来の持ち主……といっても全て非合法に手にいれた物だろうが……はこの通り降伏したので今は持ち主なしのフリーな状態。
ならば、貰ってしまおう。どうせ誰も気づきやしない。ばれなきゃ犯罪じゃないし、この場合ばれても犯罪じゃない。
出発前にバークと話したユニコーンの大規模改造プラン。
空母としての機能を取り入れつつ戦闘能力をそこなわないようにバランスを取るという極めて難しい難題である。
当然、試作一号、二号、三号と試行錯誤を繰り返す必要があるが、それだけの資材を揃える財力はユニコーンには無い。
これ以上台所事情を悪化させると、経理のバロウ・バウトが過労で吐血するだろう。
なので、他人の……もとい持ち主のいない可哀想な資材を有効利用するのだ。
勿論、余ればその分は売却する。
一石二鳥のお得すぎる成果であった。
「さてと……貴様らはグランティノの倉庫で楽しい船旅を」
「ひっ!?」
去り際に一人の海賊に消えないトラウマを残すほどの鋭い眼光を見せた白野はスークリフブレードを鞘に仕舞いながら宇宙港の奥へと入って行った。
スカーバレル海賊団の支配から離れたこの宇宙港の設備を最大限利用するために宇宙港のシステムを掌握する必要があるのだ。
*
宇宙港 中央制御室
中央制御室では白野が既に来ていたバークの手伝いを受けてシステムの完全掌握に成功していた。
本来ならイタチの最後っ屁とばかりにスカーバレルがウイルスでも仕掛けたと思っていたが、ユニコーンとバウンゼィの猛攻撃はそんな暇すら与えなかったようだ
「あー、テステス。聞こえるか、
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