第二章 三話 後ろに向かって前進 後編
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ままでは……!」
「わかっている!艦を後退させつつ艦載機を発進させる!時間稼ぎでもなんでもいい、とにかく撃つのだ!」
グランティノには申し訳程度の対艦兵装が用意されている。しかしわ気休め程度でしかないのだから牽制に使えればいい方なのである。
事実、スカーバレルの巡洋艦【オル・ドーネ級】はそんな物意に介するわけでもなくグランティノを沈めるためにレーザーを撒き散らしながら突撃して来る。
艦載機部隊の発進にはあと少しかかる。
万事休す、そう思われたその時、突撃して来たオル・ドーネ級が後背から砲撃を受けてブースターに直撃をくらい抵抗する間もなく爆炎の中に沈んで行った。
「!?どこの物だ?」
「ば、バウンゼィです!」
「おお、助けが来てくれたか!」
グランティノのブリッジに一瞬希望が見える。しかし、それはすぐにレーダー監視手の報告で打ち砕かれる。
「惑星シャンプール方向からさらに敵艦確認!数……12!?」
「おうおう、なかなか歯ごたえのありそうな奴らじゃねぇか!」
しかし、通信をいれてきたギリアスの表情にはいささかの不安も怯懦もない。これが、若さである。そう大佐は思った。
「ギリアス君、すまない。我々のミスだ」
「なさけねぇなぁおっさん!まあ、安心しな!俺が蹴散らしてやるからよ!」
これは無責任な放言ではない。
ギリアスは確かにあれだけの数の敵を倒せる実力を身につけつつあるのだ……
「すまない。こちらも艦載機で支援する。うまくやってくれ」
「おうよ!」
*
バウンゼィ ブリッジ
ギリアスは眼前に迫りつつある敵艦隊を認めるとすぐに戦闘体制を完了させ先手を打つべく加速して行った。
「ふん!お前らなんか……あいつに比べりゃ!」
主砲の二連射でたちどころに一隻撃沈しながらもギリアスの脳裏には自分をボコボコにした黒いファンクス級の事が浮かんでいた。アレに対するリベンジこそ今のギリアスの宿願であった。
「敵艦隊さらに接近!」
「構うな!このまま突っ込め!」
「了解!エンジン全開!」
一隻沈めたとはいえ、まだ十一隻残っているのだ。敵の実力を把握しつつそれでも油断しない。
そんな戦士としての能力をギリアスは次第に身につけつつあった。
「よし、今だ!回避機動!」
「うおおお!」
操舵手に指示を飛ばし、バウンゼィは急カーブを描いて敵艦隊の射線上から飛び退く。
直後、今までバウンゼィがいた空間には無数のレーザーやミサイルが飛んで来る。
「へっ!当たんねぇよ!」
「艦長、第二派来ます!」
「させるな!こっちから撃ちこめ!」
バウンゼィの砲門から連装レーザーが放たれ、敵艦隊の先頭にいた水雷艦を容赦無く
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