第二章 三話 後ろに向かって前進 後編
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空母グランティノ 艦橋
ネージリンスの新型空母、グランティノの艦橋ではワレンプス大佐が部下に指示を出しつつ惑星シャンプールに立て篭もるスカーバレル海賊団への奇襲作戦の第一段階として陽動攻撃の準備を進めつつあった。
「レーダーに今のところ反応はありません。アステロイドの近くなので油断はできませんが……」
「うむ。目視の警戒も怠るな。こうなれば目でも何でも頼る他ない。」
有視界戦においては二つの目ん玉、いわゆる【アイボールセンサー】が何より重要になる。
全てを機械化出来るだけの技術がありながら、未だに艦船の運用を人間が直接やっているのにはそういった理由もあるのだ。
「先行した前衛艦から通信。……異常なし、とのことです。」
「うむ、ではこれより……」
陽動を開始する。そう言いかけたワレンプス大佐の言葉を、グランティノの艦橋にはしった激震が邪魔をした。
「何事だ!」
「て、敵襲!」
「なんだと!?くそ、このアステロイドではレーダーが効かないから……!」
事ここに至りようやくグランティノのレーダーがスカーバレル海賊団の巡洋艦、【オル・ドーネ級】を捉える。
巡洋艦はちょうどグランティノと前衛艦の真上から砲撃を加えてきた。
恐らく、オル・ドーネの方も意図して待ち伏せしていたわけではないだろう。近くを巡回していたりした時に偶然グランティノを先に確認した。それだけのはずである。
「て、敵艦砲門に高エネルギー反応!攻撃きます!」
そして、オル・ドーネの両舷に取り付けられた特徴的な二門の砲門が火を吹き、応戦しようと上方に方向転換し始めた前衛艦の艦首を撃ち抜いた。
ユニコーン ブリッジ
ユニコーンのブリッジでは白野が先行したギリアスのバックアップのために周辺確認を余念なく行うように指示していた。
いくら奇襲のためにアステロイドを通っているとはいえ、不意の遭遇がないとも限らない。
見つかってしまえばせっかくの奇襲作戦が無駄になる。なので、ギリアスと他の艦の新米達に本来なら先行させる事はなかったのだが、白野は「何事も経験。いざとなったらユニコーンのスペックでゴリ押す」と結構無理矢理ワレンプス大佐に彼らの先行を認めさせたのである。
「先行したバウンゼィのレーダーデータ受信完了。こちらのレーダーデータと擦り合わせを開始。」
レーダーデータの共有を行って各々の艦の死角を埋め合うのは艦船運用の基本である。問題は艦船をどの位置に配置してどう死角を埋めるかにあるのだが、ユニコーンはその巨体ゆえに適当に近くにいるだけでも小型艦のレーダー範囲を軽く上回るのでそうした事は今まで意味がなかったが、幸いにもギリアスの乗艦、【バウンゼィ】にはユニコーンのレーダーよりも性能が底上げしてある特
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