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皇太子殿下はご機嫌ななめ
第32話 「燃える漢の赤いやつ」
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です。MS」

 ちょっと待て。
 リッテンハイム候が自分の専用機を、買っても良いじゃねえか?
 別に問題はあるまい。

「一人だけ抜け駆けしやがって〜許せん」
「なに言ってんだ? 欲しけりゃ卿も買えば良いじゃないか」
「殿下。ブラウンシュヴァイク公爵家にふさわしい機体は……」
「ちょ〜っと、まったー」

 ブラウンシュヴァイク公が騒いでいたかと思うと、リッテンハイム候爵が部屋に飛び込んでくるなり、叫びやがった。
 まったくどいつもこいつも。
 欲しけりゃ買えよ。
 誰もダメとは言ってないだろ。

「おのれーリッテンハイム。一人だけ買いおってからに」
「ほほう。我がローゼン・○ールが羨ましいのかね。そうだろうそうだろう。あの機体は素晴らしいからな。スタイルといい、色合いといい。我がリッテンハイム候爵家にふさわしい」

 そーかー?
 あれ、そんなにいいかあー。
 俺とは趣味のセンスが違うのだな。
 ギ○ンが一番人気だしな。
 ザ○が一番だろ?
 おらがザ○は日本一。
 いやいや違う。銀河一だ。
 ところで、リッテンハイム候爵よ。
 両手を広げて、天を仰ぐんじゃない。妙に芝居がかった動作だな。
 門閥貴族特有だよな、こういうのってさ。

「あんな鍵爪のどこが良いのだ!!」
「あれはファンネルというのだ。自動追尾装置付きの浮遊砲台なのだよ」

 頭痛くなってきた。
 帝国を代表する二大貴族が、専用機の事で揉めるとは思ってもいなかった。
 しかも開発局の連中、あれを本気で実用化するつもりなのかよ。
 ファンネル。
 意味ねぇー。
 しかしながら、ブラウンシュヴァイク公爵。
 ドリルと鍵爪は男の浪漫だぞ。
 ハッ! いかん。おれも浪漫派に染まっている。
 ぐぬぬ、なんてこったい。

「皇太子殿下っ。ぜひ、我がブラウンシュヴァイク公爵家に、ふさわしい機体を選んでくだされ」
「皇太子殿下のお知恵を頼るなど、卑怯だぞブラウンシュヴァイク公!!」
「ええい、だまれー。殿下ー」

 もうなんて言ったらいいのか、サ○ビーでいいんじゃね。
 あれ、逆襲のシャアにでてきた赤いやつ。
 個人的にはブラウンシュヴァイク公には、ピ○ザムに乗って欲しかったんだが……。
 そして「やらせはせん。やらせはせんぞ」と言って欲しい。
 似合いそうだ。
 ぽちぽちと端末を操作して、映像を出す。
 画面に広がるサ○ビー。

「こいつはどうだ」
「おお、この存在感。そして重量感。肩の盾がいいですな。これにしますぞ」

 はい決定。
 ブラウンシュヴァイク家の専用機は、サ○ビーになりました。
 何か疲れた。

 ■宰相府 クラリッサ・フォン・ベルヴァルト■

 宰相閣下が机の上で
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