花の勇者と黒子の助言者
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このあたりで、この世界のあり方を紐解くべきだろう。
まず、この世界には二つの国がある。
その内の一つが二人のいるこの国、ギヴィア・ジェルト・ディアント…長いので端折ってA国とB国としよう。
そして、この二つの国は現在戦争状態にある。
戦争理由は領土でも金でもなく…食糧。
この世界はほとんどが砂漠と荒れた地の為、長きに渡って食糧危機が続いている。
国が二つしかない事にしたって単純な話…この過酷な世界では互いに寄り添っていないと生きていけないからだ。
それが昨今、世界の衰退による砂漠の広がりによって加速、ただでさえ少ない食料がさらに削られると理解した瞬間に両国は戦争状態に突入した
相手の国に在る食料を手に入れるための戦いだ。
物が人の本能に直結する為、下手な戦争のお題目より分かりやすく、兵士達も必死になる。
勝って相手の国の食料を手に入れられなければ、自分と自分の国が飢えるのだ。
しかし、両国の戦力はほぼ同じ、まともにやれば総力戦で諸共に滅ぶ。
勝つのは前提として、どれほど圧倒的に余力を残して勝てるかと片方の国が考え、出した結論が勇者召喚であり、その勇者というのが来類咲というわけだ。
「…と言うのが君の現状なわけだが…」
「うう…」
改めて自分の置かれている立場を確認させられた来類咲が、俯いたまま唸っている。
こんな戦争に全く役に立たない能力で殺し合いに参加させられそうになっているのだから当然か…聞いて見れば、秋晴が入った事に気づいたのはどうしたらいいか分からず、テラスの扉を茫然と眺めていたら秋晴が入って来ただけであり、別に気配に気づいて起きたとかそういうことではなかったそうだ。
能力だけでなく、本人も紛れもない凡人である。
「えっと…幼女神からは何も聞かなかったのか?」
「…この世界をもっとずっと綺麗にして、皆を笑顔にさせてほしいとか言われた気がするッス」
「……」
あの幼女神…見た目だけでなく精神年齢まで低いのか?
綺麗にと言うのが世界を発展させると言う事に繋がるのかもしれない。
確かに衰退しているこの世界は荒廃していて綺麗とは言い難いだろう。
それは笑顔も少なくなる。
戦争の最前線に立たせる為に召喚されたことを後で知ったのだし…あの大泣きはそれが原因だったわけだし…だが、流石にこれは幼女神のフォローは出来ない。
「世界を綺麗に、皆を笑顔に…それで…花か…」
「はい」
安易と言うかなんというか…彼女の頭の中にもお花畑が咲いているのではないだろうか?
会話に困り、適当に向けた話題に来類咲が食いついてきた。
「私、花が大好きッス。…どんなに踏まれても折られても…その時が来ればきれいに咲く花が好きッス」
「……
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