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オリ主達の禁則事項
花の勇者と黒子の助言者
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 思わず振り返ってしまった秋晴は、慈愛にあふれた大母神の満面の笑みを正面から見る事になる。

『私の孫達は、とても優しく、そして強く生きてくれていると、それを確認できたことが何よりうれしいのです』
「…ハア?」

大母神の言葉に、秋晴は間抜けな返事を返す事しかできなかった。

―――――――――――――――――――
 
後日談…と言っても百年程度後の話になるが、秋晴は再び彼の世界の土を踏む事になる。
ただしそれはあの幼女神がまたオリ主を送り込んだというわけでは無く…ちなみに事情はどうあれ悪い事をした反省として、神の力を使わない漢字書き取り2千京文字が大母神から彼女に下された罰だった…幼女神の神格が一つ上がったと、大母神が妙に楽しそうに語ったからだ。

神格が一つ上がったという事は、来類咲が“上手くやった”のだろうと判断した秋晴だが、大母神は何か含みのある、しかし悪意は欠片もない笑顔であの世界の視察に行って来いと勧めて来た。
バカンスとして…気が進まないと断る秋晴を無理やり気味に促し、最終的には半ば追い出すような形で世界を渡らせたのだ。

「これは…」

大母神と契約した時点で時の縛りから外れた秋晴は、100年前と同じ姿で同じ場所に降り立ったとたん…まず我が目を疑った。

 風光明媚…今度は冗談でも皮肉でもなく、そう評するに相応しい光景が広がっていたのだ。
 地面が100年前と違うと言うべきか…それとも秋晴だけが100年前と変わっていないと言うべきか…視界の果てまで広がる草原…所々に咲く花々…この場所がほんの100年前には命の存在しない砂漠だったと、誰が信じられるだろうか?

 正気に戻った秋晴が、慌てて来類咲の事について調べたのは言うまでもない。
 こんな事が出来る者がいるとすれば、彼女しかいないはずだからだ。
 結果は案の定…そして簡単に秋晴は来類咲のその後の事を知ることができた。

百年前、勇者として召喚された来類咲…前代未聞、長い歴史の中で唯一花によって戦争を止めた彼の英雄はその後、砂漠を緑あふれる土地に作り替えるという偉業を成し遂げ、戦争よりもこちらの功績が高く評価されている

どうやらその時に、彼女の花を生み出す能力がかなり貢献したようだ。
本人でさえも手品程度にしか使えないと評価した彼女の能力だが、そこはやはり神の補正の入った能力だけの事はあった。
それが花であれば、種類の違うものであろうと掛け合わせ、咲かせる事が出来たのだ。
彼女はこの能力を使い、砂漠でも生え、花をつけるサボテンを筆頭に、熱帯地方の花をつけつつ食べられる実をつける植物と掛け合わせることで、全く新しい品種を作り出す事に成功…これを広め、世界の緑化に貢献したらしい。
これが幼女神の神格が一つ上がった理由のようだ。
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