第三話「サッカー/SOCCER」
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詞を僕は口にしていると、いつの間にか審判が咥えるホイッスルの音が鳴った。
選手達はボールを追いかけて一斉に走り出し、僕も後を追うが足が遅い分やはり目立ってしまう……
「あれ?タケルだけ何だか遅いよ?」
と、アリサ。
「まだ他人に慣れていないから恥ずかしいんだよ?」
と、すずかが理解するとアリサもタケルが対人恐怖症だと思いだして納得した。
「タケル君大丈夫かな?今朝お父さんが喜んでタケル君を連れて行ったけど、タケル君……あんまり嬉しそうじゃなかったみたいだし」
なのははタケルの気持ちを悟って心配していた。
「そら、パス!」
一方、試合中に選手の一人が僕のもとへパスを渡してきたが、
「いただきぃ!」
「あ……!」
とろうと思ったが、運動神経ともに反射神経も鈍い僕なので直ぐに相手選手にパスを奪われてしまった。
「おいおい!何やってんだよ!?」
始めて早々僕は怒られてしまった。
「!?」
しかし、こんなところで怖がってたまるか!試合が終わるまで頑張らなくちゃ!
「どんまい!どんまい!気にしないで?」
「?」
すると、向こうから味方側のキーパーが僕に優しく励ましてくれた。彼は確かレギュラーの……名前なんか知るはずがないや。
ドンッ……
「痛っ!」
「わぁ…!?」
気を取り直して走ろうとすると、ボールを持つ味方選手とぶつかってまたボールを奪われてしまう。
「な、何するんだよ!?」
「ご、ごめ……」
謝ろうとする暇もなく選手は怒って行ってしまい、それでも気を取り直してプレーしようも、今度はボールがこちらへ向かって飛んで行き、
「!?」
つい反射的にボールを手で払ってしまい、審判から「ハンド!」と叫ばれてしまった……
「あ……」
「タケル君!しっかり!?」
と、ベンチではコーチの士朗さんが目立つ僕に叫んでいる。これほど足手まといならいい加減選手交代してもいいじゃないかと思うが、士朗さんは僕のことを思ってか?試合が終わるまで僕をフィールドへ取り残したのだ。
とにかく、僕がいようがいまいが2対0で翠屋JFCの圧勝で終わった。これもあのキーパーのスーパーセーブによる大活躍が決め手であった。ちなみに僕はほぼ全員の足を引っ張ったようなもの。後で陰口を言われるのを覚悟していよう……
「ハァ……ハァ……!」
僕は今まで以上に体を動かしたので鈍っていた体が悲鳴をあげて激しく息切れを起こしていた。
「よーし!全員よくやった!後で飯を食おう!!」
勝利に喜ぶ士朗は全員をレストランへ連れて行くが、僕だけは帰る支度をして家へ帰ろうとしていた。
「タケル君?どうした?」
と、皆とは正反対の道を歩こうとしている僕に士朗さんが声をかける。
「そ、その……今日は疲れたので早めに家へ帰ろうかと?」
「え?今からレストランで飯を食
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