自己紹介
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振り返れば、アンドリュー・フォークが立っていた。
ただ、その背後にいるのはいつもの取り巻きではない。
それぞれが初めて見る顔だった。
いや……。
「テイスティア?」
尋ねると、フォークの背後で恥ずかしそうにたっている後輩がいる。
勉強会こそ二学年で終了したものの、それからは自力で成績を伸ばして、いまでは戦略研究課程に進級している。
元々の頭ではなく、やる気の問題だったのだろう。
いまでこそ会う機会は少なくなったが、それでもたまには食事を共にしている。
前回はコーネリアの卒業祝いであり、こうして話すのは数カ月ぶりのことだ。
そんなテイスティアに小さく笑いかければ、
「いつの間にフォーク派になったんだ?」
「違いますよ」
テイスティアの即答に、フォークが嫌な顔をした。
知ってはいたが、どうやら新しい取り巻きではないようだ。
それでも本人を前に否定する辺り、少しは成長したようだなと思う。
微笑するアレスを、苛立たしげに睨んで、フォークはテイスティアの言葉を遮った。
「君は黙っていろ。いいか、マクワイルド――彼らは」
「次の戦術シミュレータ大会での君のチームだろ?」
言葉を先に言われて、フォークがさらに不愉快気に眉をひそめた。
もっともテイスティアが取り巻きに入っていないとすれば、考えられることはそれくらいしかない。
さらにいえば、その周囲に立つ少年と少女達はどれも若い。
若い少年達――フォークの背後にいるアレスの知らない顔の三名だ。
そのうちの二人が男で、もう一人が女だ。
一人は整った顔をした黒髪の男だ。綺麗に眉が揃えられており、短く刈り込んだ髪とシャープな体つきが特徴的である。しっかりとした体型はワイドボーンやフェーガンに通じるところがあるが、こちらの方が遥かに見栄えは良い。
逆に言えば、実戦的な筋肉のつき方ではないともいえた。
もう一人の男は、それとは逆のタイプの人間だ。
身体付きなどの見栄えを気にすることのない学者タイプの姿は、どこかヤンを思わせる。
もっともヤンに比べれば、遥かに真面目に見える。
どちらも顔はいいが、総じて軍人らしくはない。
フライングボールのプロ選手とマネージャーの組み合わせの様であった。
そして、もう一人。
その少女はおそらくは最年少であり――そして、もっとも印象に残る。
長い銀色の髪を肩まで下ろし、白磁のような肌には、ほぼ感情は浮かんでいない。
お人形という表現が一番正しいのだろう。
芸術家によって作られたと表現してもよい美貌に、完成された均一なプロポーション。
おそらくは彼女からすれば、先ほどの二人を表現した顔の良さなどかすんで見える。
普段はアレス以上に
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