自己紹介
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て学年主席に輝いた――」
と、最後に女性――ライナ・フェアラートを紹介しかけて、フォークの言葉が止まった。
ライナが一歩前に出たからだ。
細身の体ながら、長身の少女は椅子に座るアレスを見下ろす。
「アレス・マクワイルド先輩ですね。噂はかねがね伺っております。その噂が事実であればまことに良いのですけれど」
高音の綺麗な声音から聞こえる言葉は、やはり挑戦的な言葉だった。
「得てして噂の一人歩きってのは多いものだからね」
「ええ。それは十分すぎるほど存じてます。期待に裏切られる事は慣れてますから」
言葉づかいは非常に丁寧なものであったが、その内容は驚くほどに攻撃的だ。
少なくとも後輩が、先輩に語りかける言葉ではない。
だが、彼女が言えば、それが当然であるように聞こえた。
むしろ女性らしい丁寧な口調や優しい口調は、彼女が言えば酷く不自然に思えるだろう。
そんな挑発に対して、アレスはゆっくりと唇を持ちあげた。
笑う。
その表情に対する反応は二種類だ。
スーンをはじめとした五学年の面々とテイスティア。
そして、それ以外の――。
「何を笑っているのですか、先輩」
「そ、そこまででいい」
ライナの言葉は、フォークによって遮られた。
肩におかれた手に、振り返ってライナは首を傾げた。
すぐに身体をずらして、フォークの手が振りほどかれる。
だが、その事を気にする余裕は、フォークにはないようだった。
小さく咳払いをし、取り繕うようにアレスを睨む。
「ともかく。笑えるのも今のうちだと覚悟しておくことだ」
悲鳴に近い叫びをあげれば、フォークはアレスを見る事なく踵を返す。
その様子を怪訝な様子で見つめながら、ライナは再びアレスを振り返った。
冷笑。
美しいほどに冷たい笑みを広げて、ライナは優雅に一礼をした。
「それでは噂に期待しております、マクワイルド先輩。どうか、それまで……御機嫌よう」
+ + +
フォークを先頭にして、歩きながら――テイスティアはアレスから離れられた事に感謝した。
先輩のあの笑いを見たのは、どれくらいぶりのことであろう。
会う機会も少なくなり、最近は全く見なくなったが、アレス本人は変わっていないと思い知らされた。
それにしてもと、小さく横目で見れば、何の感情も浮かばぬ表情で歩くライナ・フェアラートがいる。
最初に会った時は、凄い美人だと思った。
だが、話しかけて、理解した。
これは駄目な人だと。
彼女を見て、思い出すのは、ワイドボーン先輩だろう。
自分と関係のないものに対しては、冷徹なまでに切り捨てる。
その点においては似ているといれば似ている。
けれど、ワイドボーンとは大き
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