自己紹介
[2/5]
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
うるさいスーンでさえ、言葉にできずに黙ってしまっている。
俺的にはもう少し肉がついた方が好みだけどな。
そんな下世話なことを思いながら、アレスは少女に浮かんだ微かな感情を読みとる。
それは値踏み。
フォークやテイスティアに一切構うことなく、こちらを遠慮なく見ている。
それはバーゲンで値打ち品を探す女性のようであって、少なくとも人間に――それも異性に向けるような視線ではなかった。
顔は良いが、随分と挑戦的な後輩だ。
それがアレスの第一印象である。
そんな視線に興味を持ったと思ったのか、フォークが口角をあげた。
「ただのチームではない」
「幾らで買ったんだ?」
ぎぎっとフォークの奥歯が音を立てた。
だが、それでもフォークは怒鳴ることに耐えた。
それだけでも少しは成長したのかもしれない。
「彼らはただのチームメイトではない。それぞれが、学年の最優秀の者たちだ!」
手を大きく広げたフォークの言葉に、アレスは唖然と口を開いた。
「何だって?」
「ふふ。驚いているようだな、マクワイルド。さっきも言ったが、私を含めてチームメイト全員が、学年の主席だと言っているんだ。もう奇跡はないぞ、マクワイルド」
「あ……そういうことな。ああ、うん」
自慢げに哄笑するフォークを見ながら、アレスは頭を抱えた。
何という才能の無駄遣い。
+ + +
普通は学年主席が同じチームを組む事は滅多にない。
最近では――というよりも、アレスが二学年の時にフォークと当時の四学年の主席が一緒のチームになったのが最初で最後だろうか。
それが全員が同じチームになるなど、確実に意図的なものを感じる。
というよりも、むしろフォークの力であろう。
どんな説得をしたのか、アレスには想像もつかなかった。
いま思えば二学年の時点では、四学年の主席と同じチームにしかなれなかったと見るべきだろう。そう考えれば、この二年間もフォークは主席に至らなくても順位が一桁の優秀な人間と組んでいることが多かった気がする。
それでも勝てない為に、なりふりすら構わなくなったか。
そして、テイスティアはいつの間に学年主席までのぼりつめているのかと、アレスはいろいろな意味で驚きを隠せない。
その表情にフォークは満足したようだった。
鼻を小さく膨らませると、頼んでもいないのに紹介を始めた。
「四学年の主席であるテイスティア候補生は説明は不要のようだね。続いて、三学年のケビン・ウィリアム候補生」
黒髪の体格の良い男が、こちらも挑戦的な笑みを浮かべた。
「こちらが二学年のヘンリー・ハワード候補生」
その隣で学者タイプの男が小さく頭を下げた。
「そして、最後に我がチームの紅一点。女性にし
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ