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遊戯王GX−音速の機械戦士−
―砂の異世界―
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 肌に砂のような感触が感じられ、こそばゆくて意識が回復していく。すっかり失神からの回復にも慣れてしまったようで、個人的にはかなり不安なことになっている今日この頃だが、早く目覚めて悪いことはない。

 目を開けると、そこは意識を失う前と同じくバイクの上で、明日香も後部座席に眠っている。彼女はまだ意識を取り戻していないようだ。……そこまでは良い。

 何故俺たちがいるのはアカデミアではなく、日差しが激しく照りつけて見渡す限り一面に砂と乾いた岩が広がっている――俺は来たことがないものの、砂漠地帯の特徴にそっくりな場所にいるのか。意識を失う前に最後に見たものは、プロフェッサー・コブラの建造物から発せられた光だったが、あの光が一体何だと言うのだろう。

 そして砂漠地帯には全く相応しくない、俺がいつも慣れ親しんでいるアカデミアがそこにはある。俺と明日香以外もここに来ているのを喜ぶべきか、学校全体でこんなことに巻き込まれたのを憂うべきか。

 しかし、アカデミアの全てが巻き込まれた訳ではないようで、本校社以外のアカデミアの建造物はほとんど見当たらない。本校を中心にして一定範囲内の物が、この砂漠地帯に連れてこられたらしい。

「アカデミアのところまで行ってみるか……」

 明日香を目覚めさせてアカデミアに行こう、と思いバイクに近づいたところ、近くから砂を踏み込んだ足音が聞こえる。岩で姿は見えないものの……ここで一緒に遭難した生徒だと思うことはなく、どことなく覚束ない足音から、怪しい人物――それこそいてもおかしくないギースやコブラ――だと思った俺は、早急に明日香を起こすことにした。

「おい明日香、起きろ」

「遊矢……って、ここは!?」

 その周囲の景色から異常なことが起きている、と即座に判断したのか、明日香はすぐに目覚めてバイクから立ち上がる。俺はギースから取り返した【機械戦士】をデュエルディスクに入れると、岩の向こうにいる人物に声をかけた。

「そこの岩の後ろにいる奴! 出て来い!」

 油断無くデュエルディスクを構えた俺の言葉に、岩の向こうにいた人物は即座に向こうから現れた。危害を加えようとか奇襲をしようとか、そんな動きでは全くない――と、素人である自分にも解るような動き。外見は白いマントのようなものを羽織っており、体格は俺や明日香と同じ程度……いや、少し大きい程度だった。

 しかしそんなことを観察するより早く、俺はその白いマントの男の正体が解っていた。少々髪が伸びているようだったが、その顔を忘れる筈がない。

「三沢……!?」

 ジェネックスの終結とともにアカデミアを去った親友が、制服から白いマントへと姿を変えてそこにはいた。

「やはり遊矢だったか。それに明日香くんまで……どうしたんだ?」


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