暁 〜小説投稿サイト〜
遊戯王GX−音速の機械戦士−
―砂の異世界―
[3/11]

[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話
めに聞くけど、免許とか……」
「あると思うか?」

「……ないわよね」

 三年間アカデミアで過ごしているので、運転免許を取っている生徒など一部しかいないが、そもそもこんな大型バイクは特殊な免許がいるだろう。もちろん俺がそんなものを持っているはずもなく、足場の不安定さもあって車体が大きく揺れた。

「……転ばない?」

「多分」

 不安そうに俺を掴む明日香に頼りがいのない返答をしながら、俺はバイクの後方に乗っている三沢に声をかけた。……思い返してみれば、三人でこんな風に久し振りだ。ジェネックスが始まるまでは、この景色が日常だったにもかかわらず。

「この世界に住んでる人はいないのか? 戻れないならどこか、集落か何か……」

「いや、俺も捜してはみたが人間はいなさそうだった。ここにいる住人は……デュエルモンスターズの精霊たちだ」

 三沢の言葉に驚きながら、俺は無意識にデュエルディスクに収められている【機械戦士】へと視線を移した。こんな見渡す限り砂漠のような世界が、十代のネオスペーシアンのような、カードの精霊たちの世界だというのだろうか。

「俺はツバインシュタイン博士と十二個の異世界を発見したが、そのうちの幾つかは、デュエルモンスターズの精霊世界、と呼べる場所らしい。……これ以上の研究を進めるためにも、早く帰らなくてはな」

「なら、デュエルモンスターズの精霊と話が出来るの?」

 明日香の放った質問は俺も興味があった。精霊であるという【機械戦士】たちと、俺は未だに話すら出来ていないのだから。

「種族による……としか言いようがないな。中には敵対して来るモンスターも――」

 三沢の言葉が途切れて俺たちが乗っているバイクに影が差し、俺たちは反射的にその影の正体を見つめた。太陽を影にしている為に逆光になり、その姿は良く見えないが……紛れもなくアレは、《ハーピィ・レディ》だった。

 もっと正確に言うならば三体別々の姿をしているので、《ハーピィ・レディ 三姉妹》というところだが。そのいななきはこちらを威嚇しているようで、どうにも友好的な雰囲気ではないどころか、獲物を見る殺意が見え隠れしている。

「逃げろ遊矢!」

「そう言われてもな!」

 こちらは砂地を走っているバイク、あちらは飛行する鳥人。どちらが速いかは一目瞭然であり、徐々に《ハーピィ・レディ 三姉妹》はバイクへと近づいて来る。その見るからに鋭利な爪は、人間の身体程度ならば容易く断ち切るだろう。

「……仕方ないか。遊矢、スピードを落とすなよ!」

 そう言い放つや否や、三沢はバイクの上に立って《ハーピィ・レディ 三姉妹》へと身構えるようなポーズを取った。足場は固定されているので、振り落とされることはないものの、ハーピィ・レ
[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ