―砂の異世界―
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めに聞くけど、免許とか……」
「あると思うか?」
「……ないわよね」
三年間アカデミアで過ごしているので、運転免許を取っている生徒など一部しかいないが、そもそもこんな大型バイクは特殊な免許がいるだろう。もちろん俺がそんなものを持っているはずもなく、足場の不安定さもあって車体が大きく揺れた。
「……転ばない?」
「多分」
不安そうに俺を掴む明日香に頼りがいのない返答をしながら、俺はバイクの後方に乗っている三沢に声をかけた。……思い返してみれば、三人でこんな風に久し振りだ。ジェネックスが始まるまでは、この景色が日常だったにもかかわらず。
「この世界に住んでる人はいないのか? 戻れないならどこか、集落か何か……」
「いや、俺も捜してはみたが人間はいなさそうだった。ここにいる住人は……デュエルモンスターズの精霊たちだ」
三沢の言葉に驚きながら、俺は無意識にデュエルディスクに収められている【機械戦士】へと視線を移した。こんな見渡す限り砂漠のような世界が、十代のネオスペーシアンのような、カードの精霊たちの世界だというのだろうか。
「俺はツバインシュタイン博士と十二個の異世界を発見したが、そのうちの幾つかは、デュエルモンスターズの精霊世界、と呼べる場所らしい。……これ以上の研究を進めるためにも、早く帰らなくてはな」
「なら、デュエルモンスターズの精霊と話が出来るの?」
明日香の放った質問は俺も興味があった。精霊であるという【機械戦士】たちと、俺は未だに話すら出来ていないのだから。
「種族による……としか言いようがないな。中には敵対して来るモンスターも――」
三沢の言葉が途切れて俺たちが乗っているバイクに影が差し、俺たちは反射的にその影の正体を見つめた。太陽を影にしている為に逆光になり、その姿は良く見えないが……紛れもなくアレは、《ハーピィ・レディ》だった。
もっと正確に言うならば三体別々の姿をしているので、《ハーピィ・レディ 三姉妹》というところだが。そのいななきはこちらを威嚇しているようで、どうにも友好的な雰囲気ではないどころか、獲物を見る殺意が見え隠れしている。
「逃げろ遊矢!」
「そう言われてもな!」
こちらは砂地を走っているバイク、あちらは飛行する鳥人。どちらが速いかは一目瞭然であり、徐々に《ハーピィ・レディ 三姉妹》はバイクへと近づいて来る。その見るからに鋭利な爪は、人間の身体程度ならば容易く断ち切るだろう。
「……仕方ないか。遊矢、スピードを落とすなよ!」
そう言い放つや否や、三沢はバイクの上に立って《ハーピィ・レディ 三姉妹》へと身構えるようなポーズを取った。足場は固定されているので、振り落とされることはないものの、ハーピィ・レ
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