―砂の異世界―
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「……こっちが聞きたいわよ、三沢くん。ここはどこなの?」
どうやら三沢にしても俺たちと会うのは想定外だったようで、三沢にしては珍しく見て解るほどにうろたえている。俺たち三人はまず、情報の共有を始めることとした。
まず三沢が何故ここにいるかというと、ツバインシュタイン博士の助手として実験をしていたところ、不慮の事故によりデュエルエナジーが暴走してしまう。その結果、三沢はこの『砂の異世界』に飛ばされてしまっていたらしい。
俺たちもその説明を聞けば似たようなもので、ギースとデュエルした後に見た光が、そのデュエルエナジーの暴走であるのだろう。そして俺たちは、アカデミアとその周辺ごと異世界に来ることになった。……プロフェッサー・コブラの目的は謎のままであるが。
コブラの元に行った十代たちならば何か知っているかも知れない、ということで三沢を含めた俺たち三人は、まずはアカデミアに向かうことにした。何かに――少なくともアカデミアまでの移動には――使えるかも知れないので、ギースの乗り捨てたバイクを使わせてもらうことにする。
「しかし、アカデミアは相変わらずみたいだな」
「毎年毎年、色々な厄介ごとが来るよなぁ……」
三幻魔だの光の意志だの異世界だの。こんな学園生活が送れるのは、このアカデミアだけだろうと思う。
「三沢くん。異世界から戻る方法って知ってるの?」
「……理論上はな。俺たちが来たデュエルエナジーと、同等以上のデュエルエナジーを暴走させれば良い。だが……」
三沢が実験で使ったというデュエルエナジーは知らないが、俺たちが来たデュエルエナジーはアカデミアの生徒のほぼ全て。そう簡単に用意出来るものでもないだろうし、俺たちの腕には未だにデスベルトがついたまま……こんな砂漠地帯の真ん中で、集団でデスデュエルをするわけにもいかない。
「……よし、動きそうだ」
ギースのバイクのエンジンが始動すると、今では頼もしいガソリンの排出音が聞こえだした。俺がまずは運転席に座ると、明日香が俺の腰回りを掴んで運転席の後ろに座る。三沢は明日香には掴まらずに、捕まえた精霊たちを捕まえる球体を――邪魔だったのでその球体は壊したが――運んでいた場所に座った。
「三沢くん、そこで大丈夫?」
「固定する物もあるし大丈夫さ。……それに、二人を邪魔するわけにもいかないからな」
「……発車するぞ」
三沢の軽口と背中に感じる弾力性豊かな二つの物体を意図的に無視してバイクのペダルを踏み込むと、エンジンが一際大きい音を響かせてバイクは動きだした。精霊を捕まえるシステムが搭載されているせいもあり、かなりの大型バイクであるのでそのパワーも計り知れない。
「砂地なのに結構スピード出るのね。……それと遊矢。念のた
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