第五十四話 富の為にその十一
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「君を倒すよ」
「生憎だがだ」
広瀬もここで返す。
「それは俺だ」
「言うねえ、本当に」
「だからここはあんたの墓標になるよ」
「どちらにしてもここがどちらかの墓標になるか」
広瀬はここで言った。
「面白いな」
「だろ?」ここはそういう場所なんだよ」
「ではあんたは中国人だからな」
「言っておくが共産主義者じゃないよ」
王は祖国のイデオロギーは最初に否定した。
「私はね」
「違うか」
「今の中国じゃここまで言っても大丈夫だけれど共産主義は嫌いなんだよ」
こう言ってもだというのだ。
「まあ政府にはよく思われないがね」
「中国も変わったものだな」
「政府はかなり悪くなったにしてもね」
しかし変わったのは事実だというのだ。
「共産主義が嫌いっていうのはいいんだよ」
「そういうことか」
「政府をかなりおおっぴらに批判しないとね」
ネットで悪口を言う位はというのだ。
「もっとも一党独裁だがね」
「それは変わらないか」
「今のところは。で、私の宗教だけれどね」
「仏教か?なら念仏を唱えてやるが」
「いや、道教だよ」
笑ってそれだと言う王だった。
「私の宗教はね」
「そちらか」
「中国人の間の土着の信仰で中々いい宗教だよ」
「確か水滸伝にも出て来たな」
「中国の小説にはしょっちゅう出て来るさ、水滸伝だけじゃなくてね」
実際にそうだというのだ。
「それで私は関老爺を信仰しているんだよ」
「関老爺、関羽か」
「ああ、流石に知ってるね」
「三国志の英雄だな。中国人の間で根強い人気があるそうだが」
「智勇兼備の美髭公ってね、万能の神様だよ」
「あんたとは随分違う性格に思えるが」
「私は金は大好きだけれど関羽様は清潔なんだよ」
曹操から貰ったものを受け取らずに当時護っていた主君劉備の奥方達に贈ったことからそう言われている。
「そこから福の神にもなってね」
「金の好きなあんたも信仰する様になった」
「そういうことだよ」
「話はわかった、では道教の祈りは知らないが」
「私が死んだら祈ってくれるっていうのかい?」
「だから迷わず成仏しろ」
広瀬は王を倒すとあくまで言う。
「ここでな」
「言うね、じゃああんたは宗教は何だい?」
「強いて言うなら仏教だ」
広瀬はそちらだった。
「仏教、浄土宗だ」
「浄土宗?日本の宗派の一つかい?」
「そうだ」
「日本の宗教は多いっていうけれどね」
「仏教の宗派も多い」
「中国よりも多そうだね」
建前では共産主義だが実際は多くの宗教がある王の国よりもだというのだ。
「十三億の人間がいる国よりも」
「本当に十三億か?」
「一応はね」
表向きはその数だというのだ。
「それだけだよ」
「一応か」
「実際の
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