第六十六話
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第六十六話 博士の努力
雅美も努力をしている、そして。
勿論天本博士も努力を続けている。だが博士の努力はというと。
「満足してはならぬのじゃ」
「絶対にですね」
「そうじゃ、どんな素晴らしい兵器だの細菌だのを産み出してもな」
それでもだとだ、研究所で小田切君に話すのだ。
「それに満足すればそれまでじゃ」
「より凄いものを作らないとですか」
「駄目じゃ」
このことは厳しい顔で言うのだった。
「わしは二百億年の間このことは忘れてはおらん」
「それでずっと宇宙で暴れてこられたんですね」
「そうじゃ」
まさにだ、その通りだというのだ。
「そして数多くの戦いを経てきてじゃ」
「多くの兵器だのを発明されたりきたんですか」
「昨日より今日じゃ」
この言葉だけを聞くと道徳的である、とはいっても博士にモラルや常識なぞといったものは一切関係がないが。
「そして明日じゃ」
「明日は今日よりもですね」
「よいものを産み出す」
つまり危険極まる兵器を開発するというのだ。
「核兵器でも細菌兵器でも化学兵器でも何でもな」
「全部国際法違反ですね」
「国際法?聞かぬ言葉じゃな」
博士の頭の中にないのは常識だけだ、だから国際法も知らないのだ。
「新しい料理のメニューか」
「まあそう仰るならいいですけれど」
「とにかくじゃ、昨日よりもじゃ」
さらにだというのだ。
「今日は努力することじゃ」
「努力を活すんですね」
「左様じゃ、よいな」
「はい、じゃあ」
こう話してだ、博士はというと。
いつも乗っている車椅子にさらなる改造を加えていた、そしてその改造によって。
「バリアが出来たぞ」
「今度はバリアを装着されたんですか」
「これでビーム兵器は無効化出来る」
それが可能になったというのだ。
「よいことじゃ」
「ううん、また車椅子がパワーアップしたんですね」
「そうじゃ、車椅子にしてもじゃ」
いつも乗っているこれ一つ取ってもだというのだ。
「今の状況で満足しては駄目なのじゃよ」
「日々開発と努力ですね」
「それが大事なのじゃ」
それが博士の努力だった、そして車椅子に乗って小田切君に言うことは。
「ちょっと今から自衛隊と一戦交えてくる」
「試験で、ですね」
こうして今日は自衛隊と大立ち回りを演じる博士だった、そしてその戦いの結果からまた車椅子を改造していくのだった。
第六十六話 完
2013・8・25
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