Mission
Mission10 ヘカトンベ
(7) ???? ~ マンションフレール302号室
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はどうするかって話になったけど。おかげで俺たちがどういう付き合いをしてけばいいか分かった気がする」
「ミラのためにも、簡単にくたばらないでね」
「分かってる。あんな悪趣味な試練とやらで、くたばってたまるかってんだ」
ことさら飾り立てた意思表明になってしまったが、障害は果てなく大きいから、これくらいの大言壮語がちょうどいいかもしれない。
この時のルドガーは、不安を抱えつつも、まだそう考えられるだけの余裕があった。
2日、3日、4日と調べても、「魂の橋」に代わる案も、代案の糸口さえ出て来なかった。日が経つにつれ、仲間たちの口数は減り、表情に焦りが見え始めた。
どうにか方法を見つけなければ仲間を殺さなければならない、というプレッシャーも彼らを追いつめた。エルのように、「カナンの地」に行かない、という選択肢は彼らにはなかった。
5日、6日、7日と調べる頃には、作業はもはや惰性だった。他に手段などないのだと思い知らされるための時間と言ってよかった。
エリーゼやミラといった感情的になりやすい者は、泣いたり怒鳴ったりもした。誰も彼女らを咎めなかった。すでに皆が、進展ゼロ、収穫ゼロの日々に憔悴しきっていた。
じわじわと、彼らの心を、諦めという毒が冒していく。
“こうしている間にも、世界がいつ破綻するかも分からないのに”
“××××を殺せば、今すぐにでも「カナンの地」に行けるのに”
仲間のそんな悪意のない殺意を、ルドガー自身もまたうっすらと感じ取っていた。
――彼らの破綻は、もはや目の前だった。
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