3部分:第三章
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の旅行においてネットでかなり事前に調べているのである。だからこれはもうわかっていることであった。
「それでも限界がある」
「ですか」
「日本でもそうだ」
彼はここで日本についても言及するのだった。
「調べられることには限界がある」
「この辺りは無理だっていうことですね」
「そうだ。それは仕方がない」
役は言う。
「あまりにも辺鄙と言うか。こういえば言葉が悪いか」
「悪いって言えば悪いですね」
「そうだな。言葉を選ぶか」
「どっちにしろネットではわからなかったのは本当ですよ」
本郷はまたそれを述べた。
「ドイツ語のサイトも調べましたけれどね」
「それでもないのなら仕方がない」
役もそれで納得するのであった。
「しかしな」
「とりあえずこのままじゃやばいですよね」
「それだ」
彼が言いたいのはそれであった。泊まる場所がないのである。
「どうする?本当に野宿にするか」
「このままだとそれしかないですね」
本郷もその言葉に頷くしかなかった。このままでは。
「大の男二人泊めてくれるような家はないですしね」
「ましてや異邦人をな」
役は自分達を異邦人と呼んだ。それは確かにその通りであった。ここでの彼等は。
「泊めてくれるような場所はない」
「そうですよね。俺達ってここの人達から見れば何なんでしょうね」
「奇妙な東洋人だ」
一言であったが実に怪しい響きの言葉であった。そうとしか言いようのない言葉であった。
「二人連れのな。それしかない」
「あまりいい響きの言葉じゃないですね」
「そうだな。しかし向こうから見ればそうでしかない」
「そういうものですか」
「だからだ。野宿するにも場所を選ばないと」
役は言う。
「下手をすれば通報されるぞ」
「何かそれって洒落にならないんですけれど」
本郷は今の役の言葉に顔を顰めさせた。もう森も日差しも見えてはいなかった。怪訝な顔で役の話を聞きながら歩くだけであった。
「どうすればいいんですか、ドイツの警察って厳しいんですよね」
「そうしたイメージはあるな」
「っていうかネットでも詳しく書かれていましたよ」
それについてはもう書かれていたのであった。こうした情報に関してはネットでもすぐに手に入るのである。あまりにも小さな情報はわかりはしないが。
「ドイツの警察は欧州一だって」
「昔からそうだな」
役もそれはもう知っているようであった。本郷に応える言葉からもそれがわかる。
「ドイツの警察はな」
「そんなのに連行されたら旅行どころじゃないですし。森に野宿するっていっても」
「野生の熊や狼こそいないが」
「お巡りさんが来るんですね」
「どちらがいい?」
役は何故かやけに真剣な顔で本郷に問うてきた。
「狼と警官とどちらが
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