28部分:第二十八章
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然違うそうで」
「パリの料理のルーツは宮廷料理だ」
長い間首都であったからこれは当然のことであった。
「そしてプロヴァンスは海だな」
「地中海ですよね」
「海産物が豊富だ。だから」
「シーフードがメインになるんですね」
「その通りだ。ドイツも西と東ではな」
「元々の好みが違うってわけですね」
「これでわかるな」
「ええ」
あらためて役の言葉に頷く本郷であった。
「よくね。そういうことですか」
「そうだ。確かに冷戦の影響もあるが」
これは否定できないことだった。
「元々の好みが違うのだ」
「そういうことですか」
「しかもだ」
役はさらに言葉を続ける。
「ドイツはさっきも言ったように地域ごとの個性が強い」
「この辺りだとザクセンですか」
「そうだな、丁度その辺りだ」
考える顔をしながら本郷に述べる。
「東ドイツのこの辺りはな」
「ザクセンですか。古い国でしたよね」
「プロイセンとはまた違う」
プロイセンは今のドイツの首都であるベルリンを首都としていた。今のドイツの基礎を作ったと言ってもいいがドイツはこのプロイセンだけではないのだ。
「またな」
「ええ、よくは知りませんがそれもかなりのものだそうで」
「プロイセンとザクセンの仲は微妙でもあった」
「微妙ですか」
「手を結ぶこともあれば対立することもあった」
欧州の歴史の常である。
「それだけに因縁もあった」
「複雑ですね」
「それが国民感情にも及び」
これも当然の流れだ。国家同士が様々なことがあればそれを形成する国民にもまた影響する。歴史の常であるのだ。これもまた。
「そして」
「そして?」
「プロイセンとザクセンになったのだ」
「そういうことですね」
「プロイセンの味とはまた違う」
「ザクセンの味ですね」
「その通りだ」
また本郷の言葉に頷くのだった。
「それもな」
「ですね。それは」
「ドイツは本当に地域ごとによって違う」
このことをまた語る役だった。
「あの博士はその中でも生粋のザクセン人だな」
「生粋の、ですか」
「元々の伝説だ」
ここで話を変えてきたのだった。
「この話を知っているか」
「話?」
「フランケンシュタイン博士の話だ」
今度出したのはこれであった。
「小説にもなり映画にもなっているが」
「ああ、あれですか」
やはり本郷もそれは知っているのだった。納得した顔で頷くのがその証拠である。
「そういえばそうでしたね、ここでしたね」
「そうだ。だからこそだ」
「元々その蓄積があるんですね」
本郷もまた役と同じことを考えだした。
「ここには」
「それに代々この辺りの領主だったな」
「でしたね」
「それならば余計にだ。知っていても不思議ではない」
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