会談
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外国からのスパイに狙われかねないという懸念もある
普通ならば
「だが、ユウキには関係ない」
「その通り。彼女は良くも悪くも重病人。こう言っては悪いけど死を待つだけの存在。でもこの計画においてはプラスに働く」
もっとも、そうでなければこんな計画は持ち上がらなかったのだが
現実に存在しない人物を捕らえるなど、不可能である。最近、VR技術も向上してきてはいるものの、それでもネット上に住む人物を捕まえるなど、不可能に近い
「成功したとして、ユウキのその後の立場は?」
「僕の直属の部下ってところかな。今回露呈した弱点の補整に協力してもらおうと思ってるよ。もちろん、拘束時間は極めて少ないし、多少なりとも給料は出す」
「まあ、それが妥当か」
「家としては……君のパソコンでよかったかい?」
「ああ、問題ない」
ほとんど相槌を打つだけになったが、菊岡の言に俺を嵌めようと考えるような邪気は感じられない
こんなのでも政府高官。俺の考える条件をうまくおさえている
「じゃあ、細かいことが決まったらまたメールするね」
「了解だ。忙しいところすまなかった」
「……本当に今日どうしたんだい?やけに素直じゃないか」
急に振り返ったと思ったら真顔で凄い失礼なことを言ってきた
「お前は俺をなんだと思ってるんだ……。確かに俺はお前をあまり好きではないが、ユウキを救うために尽力してくれるのも事実だ。己の感情を優先して礼をしないという程、俺は恥知らずじゃない」
「それは残念。燐君がようやく振り向いてくれたと思ったんだけどなぁ」
「それを男が言っても気持ち悪いだけだ。それと、俺は今のお前を信用するなど未来永劫あるわけがない。腹に一物どころかいくつ抱えているかわからないやつを信用しろという方が無理だろう」
「相変わらず、釣れないなぁ……。でもまあ、そういうことにしておくよ(・・・)」
じゃあ、また。その言葉を残して菊岡は去って行った
……あの口ぶりだと、俺が菊岡を信用しない理由について気づいていたな?
やはり、食えないやつだ
菊岡が去って数分後、すっかり冷めてしまったコーヒーを飲み干すと俺は店を出た
途端に冷たい風が肌を刺すが、今は逆にありがたい
冷えた頭で夕焼けの空を見上げる
「さて、帰るか」
白い息とともに声は虚空に散っていった
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